不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

聞けている

 僭越というか、自分で書くと何ともバカみたいなのだが、いま自分の音楽の聞き方がおもしろい。昨年末にエレクトリック・マイルスにハマり、そこそこの音源を聞きつつ、その周りのジャズ以外の、たとえばジミ・ヘンドリクススライ&ファミリーストーンなどにも手を広げていって、さらにそこから枝葉を伸ばして次はこれでといった具合にどんどん聞いていてそれはいまも継続中なのだけれど、どれもこれもおもしろくて、前に聞いた事あるはずの、そしてその時はピンと来なかった音源でも「おお、これはおもしろい」と思うようになっているのだ。マイルスから離れたところで具体例を出すと、TortoiseTNT』、ポストロックの名盤だそうだが以前聞いた時は何をどう楽しめばいいのかわからなかったのに、ふと聞いてみたら楽しんでいる自分がいる。古今東西問わずジャズもロックもファンクもメタルもヒップホップもクラシックも聞いている、これまでで一番音楽を聞けている気がする、自分の事ではあるがこのモードがしばらく続いてほしい、できればずっと。

今年もつまらない

 今年の花粉症はやばい、いつもの十倍以上という毎年聞いている気もする脅し文句ではあるが実際すごいらしく、ひいこら言っている人がたくさんおられるなか、昨年に引き続き今年も私の花粉症は軽い。時折目が痒く、時たまくしゃみが出る程度で鼻詰まりはなし。日記によると一昨年は鼻詰まりはあったようなので、昨年今年で共通している事といえばと考えて思いついたのが、飲んでいる薬である。いまはもちろん、昨年の春も薬を飲んでいたはずである、少なくとも前後に飲んでいたのでそこに抗炎症薬もあったはずだからそれが影響しているのではないか。体質が変わったわけではないのは残念だが、花粉症に薬は有効なんだなと実感した(まだ推測の域だが)。花粉症くらい軽くなるボーナスがあってもいいよな。

カレーフェアではなくカレーフェス

 セブンイレブンがまたカレーフェスを始めたと聞き、昨夜カレー食べたばかりだというのについ行ってしまい、禁断の連続カレーをしてしまう。今回もまずは「魯珈監修 ろかプレート牛と鶏のあいがけスパイスカレー」を選んだがうまい。うまいのだがやや高いなぁと後輩にぼやいたら「実店舗に行く電車賃と手間を考えたら割安です」と言われる、なるほど言われてみればそうかもしれないと納得しかけたが実店舗はもっとうまいだろうし道中もある意味で味の一つなので、比べると手近なのは有り難いがやはり少し高い気もする、そう言いつつまた食べるけど。

三月五日、エルヴィス

 一日出歩いた翌日はぐったりと疲れてしまうので今日はおとなしく地元をぶらぶら。新しく素麺の店ができたと聞いたので早速行ってみた。小さいがなかなか洒落た店で、なによりうまい。冷たいのも温かいのもあってつまみも多数あり、これから重宝しそう。古本屋に寄ってから喫茶店に行き、本を一冊読み終える。

 帰宅し、Netflix『エルヴィス』を見る。その名の通りエルヴィス・プレスリーの伝記映画で、監督はバズ・ラーマン。彼の作品はどれもケレン味たっぷりのひたすら続くオープニング、あるいは豪華絢爛なミュージックビデオに見えてしまい、それは作品次第でよくなる時も悪くなる時もあるが、今作はフィットしていた。が、どうしても行間があく筆致なのでパーカー大佐とプレスリーの関係の複雑さが薄くプレスリーの苦悩もイマイチ。その色鮮やかさの裏の虚無感という点でもフィットしているとも思うのだけれど。しかし、アメリカンドリームを果たせなかったパーカー大佐と父殺しを果たせなかったプレスリーというタッグは、成功したはずなのに大人になれないアメリカという構図に見えておもしろい。プレスリーを演じたオースティン・バトラーは熱演だったが、この手の映画で最後にご本人登場をさせるにしても写真程度にして映像はやめたほうがいい、どう頑張っても本人には敵わないのだから。ほんの少しでもプレスリーかっこいいわ、甘い声だわ……。

 夕飯は、悪友から「不調ならカレーを食え」と言われたので冷凍しておいた家カレー。惰性で『どうする家康」を見て、やはり夜の散歩で感想戦で酷評する。

三月四日、フェイブルマンズ

 隙あらば映画館に行っていた時と違い、いまは本を読みたいダラダラしたいという欲求の方が強くなってしまい(特にここ数年)、しかしそれでも映画は映画館でなるべく見たいという思いは確かにあるので、休みのたびに迷っている。今日も朝から悩んだが、たまたま見たい映画がネット予約なし全席自由席の吉祥寺プラザでの上映だったので、行って混んでいたらやめて空いていたら見ようという曖昧な態度での判断となった。結局ほどほどの混みようだったので、ここまで来たしなと選んだ作品はスティーヴン・スピルバーグの半自伝作品『フェイブルマンズ』

 見終わるや私の中の水野晴郎が「いやー、映画って、本当にいいものですねぇ」と思わず言い出すような映画であった。正直、幼年〜青年期の青春には全く興味はなかったし、見てからもさほど興味が生まれる事はなかったのだけれど、スピルバーグの映画愛というより(むしろ映画愛はそれほど感じない。幼年期に見た映画以外で鑑賞シーンはなく、撮影をしている場面ばかりだったので、映画制作愛と言うべきか)これから作る作品の原石をそこかしこに散りばめ、それを抜群のセンスで鮮やかに映し出すそのテクニックに脱帽。あくまで主人公サムが見ている世界だけなので映すところ映さないところがあるのだが、その差配がとにかく見事だし、複雑な感情をみなまで言わず演技と演出で見せるのはまさに映画。終盤の彼とのやりとりは本当にすばらしいし、愛嬌もあってお見事。カメオ出演は知らず、出てきた時に「マジかよ」と声に出してしまった。まぁスピルバーグの巧妙なテクニックを見せつける作品ではあるけど、それ以上ではない気もした。でも決して嫌いになれないのは、その愛嬌ゆえ。ラストショットのあれはずるいよ。しかし、百五十分はちょっと長かった、できれば二時間くらいでまとめて欲しかった。

 チャイを飲みながら井の頭公園を散歩し、そのまま井の頭公園駅前に行って下北沢に出る。軽く散歩をしてから、いつもの行きつけイタリアンで結婚記念日食事会。お疲れ丸十一年、十二年目もよろしくと、先日古本を売った金で豪遊。あれも食べようこれも食べようとひたすらうまいを言いながら喰いまくる。食べるスピードが早かったらしく、途中でシェフがこちらを見て「早っ」と呟いて慌ててメインの用意をしていた。あれもうまいこれもうまいとデザートまでフルコースだが、酒を飲まない二人なので(カミさんは病気を機にやめた)さほどの値段にはならず。

 よい映画によい食事、二人でニコニコしながら帰宅。

記念日

 本日三月三日は桃の節句で雛祭り、我々の結婚記念日、そして一緒に住みだして初めてカミさんが鍵をなくした日です。どこやったんや。曰く、外から帰ってきた時は自分で開けて入ったんだから家の中にあるはずだ、とゴミ箱までひっくり返すも出てこない。鍵入れにしていた私があげた真っ赤な金魚のがま口ごとないので目立つはずだから見落とす事はないと思うのだがないものはない。仕方なく合鍵を作った。毎年この日に結婚記念日だと書くつもりは全然なかったのだが、あまりのタイミングだったうえに、先日「プロフェッショナル 仕事の流儀」の俵万智の回を見たのもあって、ついこんな安易なパロディ歌を思いついたので書いてしまった。

「家の鍵、なくした」と君が言うから
三月三日は合鍵の日

 気をつけてね。

夢の走り

 夢で走ると前に進まない、というのが同意をもらえる夢あるあるなのかどうか知らないが、とりあえず私は夢で走ると前に進まない、向こうに行かなければいけないのに進めない、それでイライラして起きる、悪夢といえば悪夢かもしれない。いつもそうなのだが、このたび初めて走って前に進む夢を見た。中距離走のトラック競技に参加していて、ボルトのような大股でバタバタしているのにやたら速い走法と同じ走り方をしていた私は、やはりボルトと同じように速くて次々に選手を抜いていった。起きてそれほど爽快だったわけではないが悪くない気分だった、まだ見られるだろうか。学生時分は中長距離が好きだった、一人で走る事だけになるのが好きだった。いまや歩くのがせいいっぱい、運動をしたくともとりあえず病気を治してから、という最近の結論へ行き着くだけであった。しばし投薬再開。