不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

九月二一日、喰い疲れ

 姉一家との不定期飲茶会、姉旦那は体調不良で欠席。食後、何故か甥っ子に本屋に連れて行かれて図鑑を買わされる。読書欲が旺盛なのはいい事だけれど会うたびに本を買わされるのは勘弁していただきたい。食べ疲れたのか甥っ子以外はぐったりしたので、茶を飲んだら解散して帰宅。昼寝。結構昼を喰ったので夕飯は軽くするつもりが、カミさんが突如ピザを食べたくなったので出前をとる。エレファントカシマシ一曲、宮本浩次が二曲歌うというのでCDTVスペシャルを流す、こういう時に流行っている曲を知る、全然好きになれないのはオッサンになった証拠か。途中、うまいこと風呂に入り、目当ての三曲全て聞けた、歌うめーなー。

TENET テネット/昨日、明日のお前に会う

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 立川シネマシティでの鑑賞で、極上爆音上映と銘打たれていたわけではないが、音響がえらくよくてスタートの銃撃音、爆発音からこちらにビシビシと響いてくるのが心地よく、劇伴はメッチャうるさかったが、まぁそれだけでも見た甲斐がある気すらしたわけだが、見る前にふと思い出したのは『バーナード嬢曰く。』で神林嬢が、グレッグ・イーガンは難解なSFを書くけれど自分が書いている内容を理解しきっているわけではない(のではないか)と言っていた事で、もしかしたら実はクリストファー・ノーランもそうなのではないかと頭に入れながらの鑑賞だったせいか、細かいところは置いておくトンデモSFとして楽しめたといえば楽しめた。

 思い返すとわりとどうでもいいというか、印象に残るものが少ないというか。率直に言って映像はおもしろいけど映画としては退屈スレスレだったわけで、アイデア勝負なのはいいけれどもう少し脚本を練ってくれとまずは言っておきたい。会話もそうだし、個人の行動のキッカケが安易すぎてうんざりする事多々あり。順行逆行アクションは見応えあるが肝心のカーアクションはつまらなくて、特にクライマックスがあんな感じなのは絶対にいただけない、やる気あんのか。時系列はそれほど複雑ではなくちょっと整理すれば理解できる程度で、細かく考察しようと思ってもタイムパラドクスの事は考えない事にしているのならあっさり風味であろう。

 「起こってしまったものは仕方がない」という開き直りにも似たセリフが何度も出てくるけれど、結局事は起こるべくして起こるといった決定論・運命論であって、それにいささか反感をもってしまう程度に自由意志を持ちたいのかな俺はという気づきがあったのは収穫ではある。どちらかといえばそういうものを鼻で笑いたい、必然はなく偶然しかない。その文脈でいえば、ニールの正体がどうのといった仮説が解説記事などで見受けられたが俺はそれには否定的だ、そうであるならもっと描写があるはずだし、そこまで運命的なものにする事はないだろう、彼らの選択はどうなる。見知らぬ誰かであるからこそ、その関係や感情が美しいはずだ。

 総じて言えばロバート・パティンソンのほつれ髪120点、エリザベス・デビッキの首筋200点、彼ら主人公たちの友情に300点、といったところだった。クリストファー・ノーラン作品は、『メメント』のアイデアを具現化する手腕と、『ダークナイト』の前半(ジョーカーが警察から脱出する)までの興奮以上のものはいまのところなく、「俺の作品」に胡座かいてんじゃねぇか疑惑が浮上しつつある。

九月一九日、甘辛

 皮膚科に行って処置をしてもらってからカミさん実家へ。カミさんは何度か帰っているが俺は年末に会って以来、こういう状況なので仕方がないが不義理ですみませんという気持ちは確かにあるけれど、俺なんかに別に会いたくないのではという気がしないでもない、というふうに思うのも失礼なわけで、義実家での立ち位置というのは難しい。加えていつも近所の鰻屋でごちそうしてくれるから申し訳ない、しかしここの鰻はたいそううまくていつもニコニコしながら喰ってしまうのを見られていて恥ずかしい。今日もヒレ焼き、肝焼き、白焼き、そしてうな重をごちそうになってしまった、ああ、うまい、幸せと無意識に口にしてしまった。

 義実家でだらだら猫と過ごす。それだけなのに帰る時には疲れ切っていて、緊張もしないし気も使わないのだが、やはりどこか気が張っているのだろう。たっぷり喰ったし、夕飯はデパ地下のお惣菜でいいな、ちょうど新宿で降りるから伊勢丹地下を見てみようと気軽に立ち寄ったが、結構な混雑具合ですっかり元の通り、いやそれよりもまだ少ないのかもしれんが人は多い。うんざりして何も買わずに地元に戻ったら、ちょうど五平餅の店が出店している事を思い出して買う。昼も夜も甘辛な上に、野菜が全然ない。これはいかんと思いつつも、今日はこれでいいやと諦める。食後、しばらく入浴禁止なので半身浴とシャワー。冬でなくてよかった。

いい事ばかり

 散髪して、背中の粉瘤の措置が始まって、会社に行って仕事をしていたらちょっとよい辞令が出て、The Yellow Monkeyの東京ドームライブのチケット当選の一報が入って、カミさんが諸々おめでとうと寿司を買っておいてくれて、Netflixで見た映画はおもしろくて、そのあと『ミュージック・ステーション』で宮本浩次の歌を聞いて、サランラップで背中の患部を覆ってシャワーを浴びるのに成功して、振り返ってみたらいい事ばかりが起きた一日であった。たまにはこういう日があるものだ、たまにはこういう日があってもいいはずだ。いい気分で連休へ。

九月一七日、新聞記者

 電車に乗ったり、昼飯喰ったり、珈琲豆買ったり、古本屋をのぞいたりしている時も、iPhoneで電話をしたり、メールをしたり、資料を確認したり、その件で打ち合わせたりしていた。片手で持っているスマートフォンだけでそれくらいの事はできるのだから、なるほど、ノマド(だっけ)なる働き方が生まれるのもわからんではない。どこにいたって仕事ができる、便利だ、それが幸せかどうかはともかくとして。片手間でも仕事をしていたせいだろうか、仕事も用事も終えて帰路についた時はもう夕方くらいかと思っていたが、まだ十四時頃であった。

 帰宅し、Netflixで何か見ようと選んだのは『i 新聞記者ドキュメント』。あの『新聞記者』については酷評したが、それが日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞するのだからお笑いである。さらにそれがNetflixで改めて映画かドラマかになるそうで、まぁ題材はいいわけだからなと思ったが監督とプロデューサーが映画と同じだからもう諦め気味だ。といった事が先日あったので、そういえば見ていなかったし、森達也監督作品なら『新聞記者』よりおもしろいだろうと期待というわけではないがそう思って見始めたら、これがまた退屈でつまらん。いや、おそらく森監督はがんばっただろう、カメラが捉えた映像はどれも力強く印象的だ。ただ「望月衣塑子とは何者か」を問いかけるには対象に全く肉薄していない。佐村河内守にあれほど密着した姿はなく、あくまで取材しているところのそばにいるだけ。かろうじて何かを食べている姿を何度も写す事で彼女の何かしらの面を探ろうとしているだけだ。おそらく望月記者がそこまで密着させなかったのではないか。では彼女の仕事ぶりだけを撮影すればいいのかというと、それは全くもって薄っぺらい。熱心に取材しているけれどあまり活かせていないのではないかと余計な心配すらした。

 このままでは駄目だと思ったのか、今度は森監督は自分で動き出した。官房長官会見に潜入したいといろいろ画策する。いったいそれに何の意味があるのか、いまいちわからないがとにかく動いた。そうすると見えてきたのは政権のあれこれではなく、メディアが、もっといえばマスコミ会社が抱えている、記者クラブなどの問題だった。そして望月記者もまた東京新聞という会社が後ろ盾であると同時に枷になっていると見えてくる。劇中、もっとも刺激的だったのは隠しカメラで裁判所の中を撮影した森監督に対して望月記者が「それを映画に使うのは駄目だ」と声を荒げて怒るシーンで、「私は関係ないならいいけれど」「会社に迷惑がかかる」と彼女もまた会社に囚われている事を示し、映画プロデューサーに電話をして抗議するまでをさりげなく隠しカメラを卓上に配置し、わざとかたまたまか、望月記者の顔が見えないように撮影されており、それが逆に彼女の感情を炙り出していた。おもしろかったのはそこくらい。突然アニメが出てきたのには苦笑するしかなかった。

 何もつまらないのにこんなに長々と語る事もない気がするのでこの辺にするけれど、まことに残念なドキュメンタリーであった。夕飯後、口直しというのは悪いが、違う映画も見出したけれど時間切れで途中まで。

九月一六日、口座、MMFR

 終電では帰れなかった、ずいぶん飛ばすタクシーで家に着いて、シャワーを浴びて床についたのが午前四時前で起きたのが十二時前、たっぷり寝た。修羅場明けのタンメンを喰ってから、例のドコモコウザの件が発覚後に各口座のチェックをしていなかったのでいくつかATMを周って通帳記帳をすませる。幸い無事だったようだがこれはいつまで警戒すればいいのだ、もう起こらないのだろうか。そもそも今回何故起きたのかなどをカミさんに説明してもらったがイマイチ理解しきれなかったものの、人間が考えるものには必ず穴があるものなのだとはわかった。

 喫茶店で少し過ごしてから帰宅し、昼寝。昼飯が遅かったので夕飯はご飯と豚汁のみ。先日地上波で『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が放映されていたそうで、もちろんその時は見られなかったのだがTwitterなどの感想を見ていたら見たくなったのでAmazon prime videoで。俺は何者でもなく通りがかったようなマックスに一番肩入れをしてしまうので、どうもこの映画をめぐる言説議論に入っていけない時がある、否定するという事ではなく。映画館での鑑賞以来二度目で、最高だったという感想が変わったらどうしようかと思ったが、やはり最高だった、傑作。

マッドマックス 怒りのデス・ロード(字幕版)

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サーモス

 水筒を持ち歩くようになって一カ月弱、快適な生活を送っている。サーモスの500mlのワンタッチタイプ、手軽でナイス。サーモスをサチモスと言い間違えた事が何度かある、Suchmosの水筒、ツアーグッズか。猛暑による身体の水分不足に対応すべく購入したわけだけど、いつでもどこでも飲めるのは当然だが、何よりその辺のペットボトルの茶なんぞよりずっとうまい家の茶を飲めるのだ、しかも安く。水や茶だったら洗うのも楽。何故もっと早く買わなかったのかと悔やむほどだ。あまりに気に入って、カミさんにも購入を進め(エヴァコラボのやつを買った)、さらに実は先日買いなおしたフライパンもサーモスのものを買ってしまった。別にサーモスだから買ったわけではなく、値段と大きさと軽さが手ごろだったからで、他のサーモス製品を買う予定はいまのところない。そんなこんなで水筒片手に進めていた修羅場作業も大詰め、茶は飲み終わったがまだ終わらない、終電で帰りたい。

サーモス フライパン レッド 28cm IH対応 KFB-028 R

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  • 発売日: 2019/01/21
  • メディア: ホーム&キッチン