不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

小・コ

 数ヵ月前、台所にアリが現れて、水道管と壁の間にできた穴から入ってくるのを突き止めて、テープで塞ぎ侵入を妨害するのに成功したのだが、今度は風呂場の洗面台付近に現れた。侵入経路がいまいち特定できず、この辺かとアタリをつけてテープで塞ぐも出現するので一帯を塞いでしまおうとローラー作戦を決行し、いまのところ見当たらなくなった。殺すのはなと思いつつも最終的にはアリの巣コロリを考えていたが、それはしなくてすんだ。今回のアリは前回よりも一回り小さいアリで、小アリだからこそ小さな隙間から侵入できたのだろう。小で思い出したが、最近コワーキングスペースという言葉を聞くけれど、あれは「小ワーキングスペース(小さい仕事場)」で、会社など特定の場所に行かない人が活用する小さい場所を意味するしゃらくさい言葉なのだろうと思っていた、カミさんも同じように考えていたらしい、小芝居とか小回りとか、そういう感じで。しかし実は「Coworking Space」が正しくて、Coworkingとは《場所の縛りがない環境で働いている人たちによるワークスタイル》*1の事だとつい先日知った、考えているよりももっとしゃらくさい言葉だった。いや、別にしゃらくさい言葉があってもいいし、そこを活用している人だって全く否定はしないけれども、と念のために言い訳をしておく。

九月一三日、シウマイ弁当

 起きたら黒沢清監督ヴェネチア映画祭銀熊賞受賞と、大坂なおみ選手全米オープン優勝の快挙二つの速報がスマートフォンに届いていた。めでたい。前者はまだ作品を見ていないし、後者はテニスに明るくないので、どちらも「おめでとう」程度。大坂なおみ選手に関してはBLMの面もあって話題になっているようだが。駅ビルで崎陽軒シウマイ弁当でも買っていくかと思っていたが、歩いているうちに無心になり、そのままホームに入ってしまったので買えずじまい。仕方なくコンビニを見たらシュウマイ弁当があったので買ってみて、まぁこれはこれでおいしくはあったのだがやっぱりあのシウマイ弁当を食べたかったなと思った。喰いそびれた時に近いものを食べるとやっぱり本物、コンビニ弁当が偽物というのも悪いのだが、とは違うなとより一層それそのものを食べたくなってしまうもので、いっそ全く違うものにすべきであった。それ以外はずっと仕事で書くべき事は特にない。

九月一二日、背中

 背中にできた粉瘤は数日前に切って膿を出すはずだったのだが(または摘出手術)、医者に行ったら「まだ硬いですね、あれ、薬が効いて化膿が止まっているのかな。様子見、様子見ましょう、これで止まればいいし、やわらかくなっちゃったら、その時またやりましょう」と言われて、抗生物質を飲むだけになってしまい、本人としてはあまり痛さも変わっていないように思うのだが大丈夫なのかとやや心配。薬を塗ってくれるカミさんが言うにはちょっとよくなっているとの事なので少し安心したし、そもそもやわらかくならないと切っても膿が出てこないそうなので、いまは様子見以外にやる事がないから仕方がない。しかし化膿が止まっても粉瘤自体は残るので結局は摘出する必要があるはずなのだがそこはどうなるのやら。

 背中を気にしながら会社へ。夜まで仕事。一つやりたくない仕事があって後回しにしていたら、いつの間にか脳内から消し去ってしまい、尻に火がついた状態になってしまった。平静を装いながらあれこれやって、何とか前へ進めている。

水は海に向かって流れる/人が海に戻ろうとするのが涙なら

 ずっとだらだら続いてほしかったような、スパっと終わったのが好ましいような、何にせよいつの間にか始まっていつの間にか終わっていた田島列島『水は海に向かって流れる』(講談社の完結巻である三巻が出たので読んだ。二巻の感想で《やや特殊な人間を描きながら、しかし彼らの関係は特殊ではなく我々の地続きである事がおもしろい、ジョークのセンスが低体温で好み》と書いたが、特殊というのはすなわち人それぞれいろいろあるんだよねという事で、彼らがこの世のどこかにいて、俺たちと同じように何かがあって、それを受け入れたり受け入れられなかったりしながら生きているように読めて、だから終わってしまう事がとても寂しい。セリフの多い漫画ではなく、またその辺にある言葉ばかりが使われているが安直ではなく、彼らの言葉だなと思ったし、だから作品最後のシンプルで力強い言葉に感動してしまうのであった。ところで田島列島の漫画は、といっても長編は『子供はわかってあげない』(映画は見るかどうか迷うところ……)と本作だけだが、主人公に限らず結ばれたカップルの会話がとてもよくて、できればそのイチャイチャをもっと見たいのだがわりと少ない。今度そういうの全開の漫画を描いてもらえないだろうか。しかしわりと作者は難儀な人なようなので、まぁ次回作もぼちぼち、しかし楽しみに気長に待っている、という事だけ書いておこう。

 この漫画のタイトルを見るたびに”聖なる海とサンシャイン”の一節(日記タイトル)を思い出してしまうThe Yellow Monkey脳で恐縮なのだが、だが読み終わった今となっては一節だけでなく歌詞全てがこの漫画とリンクしているように思えてきた。漫画の明るい色と暗い曲調は正反対ではあるけれども。

水は海に向かって流れる - 田島列島 / 【#1】雨と彼女と贈与と憎悪 | マガジンポケット


THE YELLOW MONKEY – 聖なる海とサンシャイン

紫の答

 昨日のリステリン紫の話だが、検索してみたら大部分の人が俺と同じように洗口液と液体歯磨きの違いを理解していなかった。ついでに一応使い方がわかったので、ここに引用しておく、うがいして吐き出してから磨くそうだ。

1、適量を計る
20mlが適量です。
容器のキャップで計る場合は、リステリン®の容量に寄って目盛りが違うので、ラベルの説明を見てください。
一番大きな1000mlボトルなら、キャップの半分が目安です。
多すぎると口に含むのが大変ですし、ピリピリ刺激がつらくなります。


2、口に含んで、30秒ぶくぶく
口の中に行き渡るよう、リステリン®でぶくぶくうがいをします。
目安は30秒。
終わったら吐き出しましょう。
トータルケアは激しくぶくぶくすると刺激が強くなるので、耐えられる範囲でほどほどに。


3.歯を磨く
リステリン®が行き渡ったら、歯磨きをしましょう。
新しい歯磨き粉をつける必要はありません。
少し濡らした歯ブラシでブラッシングします。
歯磨き粉と違って泡立ったりはしません。*1

 ジョンソン・エンド・ジョンソンによると、最後にすすがない事がオススメだそうだが、ブラッシングした後だとすすがないと気持ちが悪いので俺はすすぐようにしている。ジョンソン・エンド・ジョンソンという字面を見ると、「ジョンソン・エンド・ジョンソンのジョンソンの方だけど質問ある?」というネタについ笑ってしまった事を思い出す、思い出すだけでもう笑わない。

紫の謎

 何かを長年使い続けていてもそれに関して初めて知る事実というものは往々にしてある事で、最近ではリステリンがそれであった。ご存じのようにリステリンは何種類かあるが黄緑色を基調としてそれぞれ特徴があって、俺は紫色のものが最強だと思っていた、何せ「トータルケア」と銘打たれているのだ、トータルでケアしてくれるのだからお得だ、と。ところがちょっと前にTwitterである人と会話をしてこの理解が間違いである事を知った。黄緑色は洗口液であり、紫色は液体歯磨き、口内炎に効くのは前者なのだと。これまでの俺の紫色でのうがいはなんだったのか、全く効かないわけではなかろうが少なくとも黄緑色よりは効かない。勇んで買った紫色のボトル(二本もある)が佇んでいる横に、新しく買った黄緑色ボトルを置いた、これどうしようかなと悩んでいた、そんな折、歯磨き粉がなくなったので試しにと紫色を使ってみた。なになに、キャップ半分を口にいれてブラッシングしろとな。その通りやってみたのだが、奥歯は口を閉めていればいいので問題ないが、前歯はどうしたって口が開いてそこから液体歯磨きがダーっと出てしまう、これはどうしたらいいのだ、これでいいのか、もっと少なめに入れればいいのか、何が正解なのだ、ちゃんと磨けているのかもわからない。新たな事実は新たな謎を呼んだ。

後ろが見えない

 当たり前の話なのだが自分の背中は自分では見る事ができない、言うまでもない事ではあるのだけれどいざ背中に傷なりできものができて自分の目では全く確認できないものだからその事をより強く感じてしまった。自分の身体なのに自分で把握できない箇所がある。身体がどれだけやわらかくとも見えない、カメラなどを使えば見えるが機械を通した映像が本当のものと同じなのかはわからない。などと思っていたが、まぁ内臓や脳なんかも見られないかな、いや見ようと思えば見られるかもしれない、グロい話になるが。『ドラえもん』でのび太が先生に「目は何故顔についていると思う。前へ前へ進むためだ」と言われて感動し、それをのび太がしずかに言ったら「当たり前じゃない、頭の後ろにあったら髪で見えない」とあっさり返されたシーンがあった。俺はのび太(というか先生)の言葉よりもしずかのドライな発言の方が「それもそうだな」と納得する、そういう身も蓋もなさの方がいい。前に進むために目があるのでなく、目がある方が前なのかもしれない。