不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

水は海に向かって流れる/人が海に戻ろうとするのが涙なら

 ずっとだらだら続いてほしかったような、スパっと終わったのが好ましいような、何にせよいつの間にか始まっていつの間にか終わっていた田島列島『水は海に向かって流れる』(講談社の完結巻である三巻が出たので読んだ。二巻の感想で《やや特殊な人間を描きながら、しかし彼らの関係は特殊ではなく我々の地続きである事がおもしろい、ジョークのセンスが低体温で好み》と書いたが、特殊というのはすなわち人それぞれいろいろあるんだよねという事で、彼らがこの世のどこかにいて、俺たちと同じように何かがあって、それを受け入れたり受け入れられなかったりしながら生きているように読めて、だから終わってしまう事がとても寂しい。セリフの多い漫画ではなく、またその辺にある言葉ばかりが使われているが安直ではなく、彼らの言葉だなと思ったし、だから作品最後のシンプルで力強い言葉に感動してしまうのであった。ところで田島列島の漫画は、といっても長編は『子供はわかってあげない』(映画は見るかどうか迷うところ……)と本作だけだが、主人公に限らず結ばれたカップルの会話がとてもよくて、できればそのイチャイチャをもっと見たいのだがわりと少ない。今度そういうの全開の漫画を描いてもらえないだろうか。しかしわりと作者は難儀な人なようなので、まぁ次回作もぼちぼち、しかし楽しみに気長に待っている、という事だけ書いておこう。

 この漫画のタイトルを見るたびに”聖なる海とサンシャイン”の一節(日記タイトル)を思い出してしまうThe Yellow Monkey脳で恐縮なのだが、だが読み終わった今となっては一節だけでなく歌詞全てがこの漫画とリンクしているように思えてきた。漫画の明るい色と暗い曲調は正反対ではあるけれども。

水は海に向かって流れる - 田島列島 / 【#1】雨と彼女と贈与と憎悪 | マガジンポケット


THE YELLOW MONKEY – 聖なる海とサンシャイン