不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

十五年後の「毒されたデルフィンたちよ」

 立憲民主党の塩村あやか議員の「プロレス」ツイート(ポスト)を発端に、Twitterはじめネットで業界・ファンが騒がしかったここ数日。該当ツイートの詳細内容や是非はここでは置く。ただ、レスラーやファン、関係者が個別に考えや感想を書く事は構わないし、プロレス団体の社長が個人として反応するのもまぁわかる。しかしながら、新日本プロレスという現在の業界最大手団体が一議員の一ツイートにわざわざ意見書を申し入れた事は、明らかにやりすぎだと私は思う。

 ところで、私はかつてこんな日記を書いた事がある。

 格闘技や「リアル」に毒されたデルフィンたちよ - 不発連合式バックドロップ

 書いたのは十五年前の二〇〇八年、新日が棚橋弘至中邑真輔によって暗黒期から抜け出そうとしていた頃、PRIDEが消滅した直後、ノアの三沢光晴がリングで亡くなる直前、そんな時代。何故Yahoo知恵袋で話題になったのかは忘れてしまった。今回同様、「プロレスはやらせか」というテーマに、「やらせ? ふざけんなよおまえ」という事を思うがままに書き散らしたものである。すなわち、今回議員を批判した人達と同じ立場であり、またその立ち位置はいまも変わっていない。

 しかし今回の騒ぎから自分の日記を思い出し、この若書きな上に他人の言葉の引用・孫引きで構成されたお恥ずかしい日記をわざわざ引用したのは、ここにある冬木弘道ジャイアント馬場の言葉が、いまのプロレスファンに響くのだろうか、と思ったからである。今回の「プロレス」問題へのSNSでの反応を見ると、政治家(しかも野党の女性議員)が相手だからと党派性から批判めいた事を言っている人も多いように思うのだけれど、それ以上に「『プロレス』『プロレス』と言っているが、君たちの『プロレス』、ひいては『リアル』とは何ぞや」という思いに駆られてしまったのだ。「君たちはいま『毒されている』と自覚をしているのか」。

 言うまでもなく古参ファン、いや、もはや最低限の観戦に留まり、熱心には見なくなってしまった現在の私はプロレスファンとは言えず、引用日記末尾に書いた化石になってしまった身であるから、いまの若いファンが耳を貸す必要はない、老人の戯言なのはわかっている。スルーしていただいて結構だ。だがしかし、塩村議員にわざわざ団体として意見を申し入れた現在の新日本プロレスを、もし冬木や馬場さんが、もっと言えばアントニオ猪木が生きていたら、どんなふうに見て、何という言葉を残しただろう。そんな事が気になってしまったのだ。馬場さん、あなたが“独占”したかった「プロレス」*1って、こういう「プロレス」でしたっけ。

*1:この言葉がターザン山本の発案というのも知っている。