そして喰いに行った。最初からこれと決めていたので甘辛豚丼にまどわされずに食券を買う。ここは「豚大学」という店名で、それにちなんで料理に名前がつけられているのだが、以前何もなかったはずのカレーには「昔ながらの学食カレー」とあった。昔とはいつの事なのだろう。私は高校・大学の通算七年間、学校に行った日の九割近くは学食でカレーを食べていた。考えるのが面倒だからそれにしたのではなく、時に迷いながらも最終的に選ぶのがカレーの時も多かった。パッとしない味だがそれにカレーポットを加え、コロッケかハッシュドポテトを上に乗っけるのが定番であった。高校でも大学でもあまりにカレーを選びすぎて、ごく稀に違うものにした時はカレー担当のオバチャンに「あれ?」という顔をされた後、ニヤニヤと笑われるようになった、次の日にはまたカレーを食べた。ついには「普通の大盛り」というサービスまでしてくれて、レジが「これは大盛り(別料金)じゃないのか?」と疑る顔をすると遠くからオバチャンが「それはいいの!」と言ってくれるようになった。カレーを介した関係、よく話もしていた、卒業直前もカレーを食べて別れを告げた。そんな事を思い出しながら喰ったカレーは、私の食べていた学食カレーではないが、確かにどこかの学食にありそうなカレーで、それなりにうまかった。もうカレーを毎日喰う事はないけれど、いまの記憶のまま学生時代に戻ったらまた七年間カレーを喰い続けるだろうか、喰い続けるな、間違いない。