不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

関口涼子『ベイルート961時間(とそれに伴う321皿の料理)』/とそれを読んだ490夜

 昨年発売された時に買って、枕元に置いて寝る前にチビチビと少しずつ読み進め、ようやく読み終えた。遅くなったのは内容がいいから。それぞれ短い章にわかれており、それらを一日に何個だけじっくり読む。料理はその土地のものであり、歴史であり、変化であり、その土地そのものなのだ。だからこそ国境を越える事ができる。何より、おいしいものを嫌いな人はいない。食事が面倒だと思う人でも、うまいものを食べるのを嫌っている人はいない。私たちは料理と共に生きている。都市と料理、記憶とカタストロフ、変容していくものについての散文集で、名著です。こういう文章、こういう文章や内容は、いざ書こうと思ってもなかなか書けないし、もしかしたら著者もこの時だけかもしれない(というと失礼か)。