不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

物語

 《もっと遠くへ、高みへ、もっと知らない場所へ、そういう場所に誘ってくれるのが【物語】というものなんじゃないのか?》というツイートを見て、また思い出した。十年以上前、ある小説好きの人と話をしていたらその人が「自分が小説に求めるものは、読み終わった時に、読む前にいた場所からはるか遠くでも、ほんの数センチでも、自分のいる場所が移動している事」と言っていて、まさしく私が求めているものもそれだと深く頷いた事があった。小説はすなわち物語と言い換えられるだろう。だから共感でも感動でも驚きでも恐怖でも、それ自体はさほど求めておらず、それによって自分がいかに動くのかが欲しい。その人とはそれ以来会う事もなく、顔も名前も忘れてしまい、おそらく今後も会う事はないのだろうけど、この言葉だけは覚えているし、これらの言葉でまた私は少し動いたように思う。