不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

アンナチュラル/死は静かに生を語る

 姉から「私は『アンナチュラル』の二次創作をしている」と突然告白されたのは昨年の正月で、俺は「ふーん」と好きにやればくらいしか言いようがなかったのだが、そこから姉は堰を切ったかのようにハマったものの熱いトークをするようになっていまや立派なオタクとして活動している。それはまた別の話なのだが、その『アンナチュラル』がAmazon prime videoで配信され始めたので、姉が見ろや見ろやと連日圧力をかけてくるものだから根負けして(別に抵抗していたわけではないが)見始めたのだが、これがおもしろくてあっという間に見てしまった。

 そもそも連続ドラマが苦手なのは、その日その時間にテレビの前にいるのが面倒な事(録画機械はない)。配信はそこをクリアしてくれるが、次に長くて挫折する。むろん、時間をたっぷり使えるからこそ長大重厚な物語を描けるのだけれど、ここが一番ネックなのだがドラマはわりと薄く思えてしまうのだ、一時間の濃さが。もうアリアリと何か起こる要素をそこかしこに残しておきながら、ひたすら引き伸ばしていくと言えばいいか。海外ドラマに至っては、最大の謎があと二話で判明するぜ、判明せずに次シーズンへいくんかーい! というのが多くてもう見る気なくす。まぁどれもあまり見ていないから印象に過ぎないのかもしれないが。

 さて、『アンナチュラル』である。どういうドラマなのかは各自検索していただくとして、俺はキャストと死体解剖医の話という以外はノー情報で見た。そのノー情報の俺に開始30分程度でスマートに舞台設定その他を描いて説明したのにまず驚いて、その一話からして昨今の社会状況とリンクするかのような話を、一つの話にギュッとまとめて濃厚だった。ここでまず姿勢をただした、一筋縄ではないなと。

 毎回、死因究明の謎解き要素と、被害者遺族との人間ドラマという両方をうまくツイストさせながら、丁寧に描いていく。と同時に、ドラマ全体を通す一つの事件へのリンクと進行もうまく、感心すらしていた。またレギュラー陣をはじめとしたキャラがどいつもこいつも一癖二癖あって愛せるからすばらしい。中でも秀逸なのが葬儀会社の木林南雲で、実は秀逸でありながら一番描き足りない人物であった。中堂系と共犯関係、そして信頼関係にあるのだが、何故木林があそこまで中堂に協力したのか、信頼されたのかが見えなかった、ここが惜しい。

 全部見終えて、いくつか引っかかる点もあったけれど、もう一回最初から見直してもいいなと思うほどのおもしろさであった、いつかまた見るだろう。そして続編が作られないかな、とも。ひと昔前だったら「the movie」とつけて映画で続編なんて事もあったのでは。いや、これだけ完成度が高いとそれも難しいか。いまやっている(そしてもうすぐ終わるらしい)『MIU404』は『アンナチュラル』と同じ世界線でメンバーが出てくるそうなので、そのうち見よう(こちらにもハマっている姉からまたDVDを押し付けられそうだ)。こういうドラマもあるのだから喰わず嫌いはしない方がいい、オススメがあったら教えてください、見れたら見ます。

アンナチュラル Blu-ray BOX

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  • 発売日: 2018/07/11
  • メディア: Blu-ray