不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

「俺の名はワシントン・ポー、本名だ」

 文庫をポケットに入れて - 不発連合式バックドロップ

 この日記を書いてからひと月ほど経ったが文庫ブームはまだ続いていて、いまやジャンルではなく「文庫を読みたい」にまでなり、積んである本も文庫だけ前に出したり、文庫本を中心に買ったりしていて、だからいつもは高いなと思う文庫も躊躇せずに買っている。それはそれで本末転倒なような、それもありなような。

 この文庫本ブームはそもそもは、ワシントン・ポーが活躍するM・W・クレイヴンの『××の殺人』シリーズを読み出したからで、結構分厚い既刊四冊をひと月たらずで全て読み終えてしまった。おもしろかった、ハマった海外ミステリは「リンカーン弁護士」以来で久々かもしれない。主人公ポーがアウトローでもエキセントリックでもなく、しかし頑固一徹、解決まで妥協せずの姿勢がかっこいい、友達が少なめなのもいい。相棒ティリーはいくら何でもできすぎの凄腕ハッカーで都合良すぎではないかと思う事もあったが、愛嬌とポーとの友情コンビのやりとりで乗り切っていた。またポーのプライベートな事柄はもちろんあるけれど、ノイズとなるようなロマンスなどを差し込んでこないのが好ましい。出てくる女性陣がみんなかっこいいのも好ましい。描写はあれど、常に天気は曇天模様を思い描いている。

 シリーズものは、前作からのつながりなどを忘れてしまいがちなので一気読みだと一番いいのだが、一気読みだからこそ忘れやすくもなっていて、次作が出る頃には何もかも忘れてしまっていそうだから困る。そしてその時にあの分厚い四冊をいちいち読み返すのはさすがにきついなと、すでに心配してしまっている。

 この記事タイトルは、こんなセリフは小説には出てこなくて、「濱マイク」からの引用だ、ちょっと変わった名前だといつもこのセリフが頭に浮かぶ。