不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

百円玉

 ずいぶん前から風呂の脱衣所の籠に百円玉がポツンと置かれている、少なくとも昨年十二月くらいからはあるはずだ。脱ぎ着する際にズボンか何かから落ちたのだろうが、問題はカミさんのなのか私のなのかわからない事である。とりあえず私のだとは確証は持てず、その場に置いたままなのだからカミさんも同じであろう。風呂に入る際に思い出して、出たらカミさんに話すかと思うもたかが百円といえばそうなのでいつも忘れてしまい、それを毎日繰り返している。しかし今夜ついに覚えたまま風呂を出て、そのままカミさんに話しかける事に成功した。

「あのさー、籠の中の百円なんだけど」
「ふふふふふふふ」
「なんで含み笑いなんだよ」
「いや、ついにその話になったかと思って」
「いつも忘れていた。あれってどっちのなんだろ」
「わかんない」
「だよね。持っていってもいいよ」
「んー、でもまぁ、それもねー」

 むにゃむにゃしたまま、カミさんは風呂へと向かっていった。たぶん百円玉はそのまま籠の中に置かれたままになるだろう、もうそれでいいのかもな。