不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

百年前の暑さ

 ここ数年、季節の繋ぎが雑だとは何回も書いていたけれど、だからといって季節を繋がなければいいというわけではない。27.5度は夏だ、まさかこの時期に冷房が結構強く効いた電車に乗るとは思わなかったしそれを快適だと感じるとは予想できなかった。何でも《100年前の1923年11月1日に記録した11月の観測史上1位の気温を上回》った*1という。どんなに異常気象だと思っても、前例があるものだ。

 百年前の大正十二年といえば九月に関東大震災があった。「やけに暑い日だ」といった事を誰か日記に残していないかと日記本棚を眺めるが昭和からのものが多い。高見順大正元年あたりから日記を書き続けているが所持している『文壇日記』『敗戦日記』『闘病日記』はその頃ではない。内田百閒『百鬼園日記帖』は大正十一年八月まで。他にないかなと棚の奥を見たら、木佐木勝の『木佐木日記』があった。中央公論新社で復刊されたものの下巻が関東大震災直後から始まる。さっと読んでみた限り天気についての記述はなく震災の爪痕はそこかしこに書かれていた、季節を感じるどころではなかったのだろうか。震災からたった二ヶ月後に、季節外れというより、季節が停滞あるいは狂ったかのような暑い日があった事を、当時の人々はどう思っただろう。この頃の日記をもう少し探してみよう。