長嶋有『もう生まれたくない』(講談社)。随所に訃報が出てくる群像劇。不意打ちのような訃報は死生観とは言わないけれど生活に静かな波を立たせ、過去から現在という時の流れに補助線を引いて見直しをさせる。死の喪失感や宗教的救済ではない、いかにも長嶋有的と言える俗な死の掴み方。俺はここに出てくる人物や事象をリアルタイムで知っていたり、ある程度の理解もあったりするから、物語を近く感じたけれど、たとえば十代、はたまた六十代くらいの、ズレた世代の人が読んだらどう思うのだろうか、聞いてみたい。最近の長嶋有の小説はいいですね。
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