不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

読む快楽

 マイクル・コナリー『証言拒否』(講談社文庫、古沢嘉通訳、上下)。「リンカーン弁護士」最新作は、シリーズ史上最高の法廷劇。定められたルールと審判を前に、証言と証拠を駆使し、相手の裏をかきながらも正面突破。これがおもしろくないのなら、何がおもしろいのかと言わんばかりの極上品。あまりにおもしろくて、上下巻と分厚いのにあっという間に読み終えてしまった。
 舞台は住宅ローン・差し押さえ問題吹き荒れる中で起きた殺人事件。銀行、住民、法廷、仲間、家族間での「フェアネス」が根底テーマになっていて、それはすなわちアメリカの根本思想でもあり、それへの問いかけである。リーガルサスペンスと謎解きが二つ合わさり、最後まで楽しませてくれる。何度も書いているけど、このシリーズはミッキー・ハラーの清濁併せ呑む人物像が本当に魅力的で、すばらしい。できる男だがミスもするし、屈辱を味わう事もあるけど、握った拳は忘れない。倫理と仁義と正義。これも繰り返しになるが、脳内イメージではぴったりマシュー・マコノヒー。ぜひ彼で映画の続編をお願いします。待ってますよ!