不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

最近読んだ小説

 ミシェル・ウエルベック服従』(河出書房新社、大塚桃訳)。転向小説であり、少し先の有り得る未来という観点からある種のSFでもあり、またある意味でSMにも読めた。だが、これをディストピアとは俺は言えないなぁ。設定が設定だし、発売されたのがあの事件当日というせいで、やけにセンセーショナルな売り出し方をされているけれど、たしかにおもしろかったがそのわりには地味な物語で、やたら騒がしい帯文が読後はより空々しく感じてしまう。佐藤優の解説は佐藤優だなと思う文と内容で、まぁ、うん、あれはあれでいいんでないかな……いらんけど。あと、この訳者は初めて見る名前で、経歴に「訳書多数」と書かれているが検索しても本書以外は出てこない。何者だろう、誰かの変名だろうか(何のために?)。

服従

服従

 円城塔『シャッフル航法』(河出書房新社。正直言ってよくわからんが、とにかくすごい作品だ。こういうデタラメな発想ができる人がいるのだなと素直に感心する。表題作は詩のようであった(もともと『現代詩手帖』に掲載された)。