不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

最近読んだ本

 ブレイディみかこ『ザ・レフト─UK左翼セレブ列伝』(ele-king books)。タイトル通り、英国カルチャーの「左」の方々を紹介した一冊。著者が「左」にシンパシーがあるので見方はフラットではないが(それは自覚して書いているだろうから別にいいんだけど)、なかなか興味深く、おもしろい。名前は知っていても、こんな政治的な活動・発言をしているんだという驚きもあり。同じ「左」でも多種多様。というか、左右という二つでわけてしまうのも乱暴な話なのだが。帯文に「左翼の意味を問う」とあるが、これは「英国の左翼の」だろう。参考にはなるだろうけど、日本は日本でちゃんと考えないと意味がないな、左も右も。考えなしが多すぎて……。
 サッチャーの影響、モリッシーの存在、そして時折ひょっこり出てきてはひと言残して去っていくジョン・ライドンの破壊力と言ったらすげぇもんだな。紹介自体はよかったんだけど、文も論考・分析も細部で荒くなったり雑になったりする時があって気になった。あと「英国の保守」への視点や角度をもうちょい深いのを読んでみたい。まぁ、それは別の著者の本でもいいのかもしれんけど。余談ですが、正直この薄さで1600円(+税)は少し高いなぁと思いました。

ザ・レフト─UK左翼セレブ列伝 (ele-king books)

ザ・レフト─UK左翼セレブ列伝 (ele-king books)

 マイクル・コナリー『真鍮の評決 リンカーン弁護士』(講談社文庫、上下、古沢嘉通訳)。「リンカーン弁護士」シリーズ二作目もメッサおもしろくて、読んでいて鼻血出そうな気分になった。この清濁併せ持ち、強くも弱くもある弁護士がかっこいいことこの上なし。マイクル・コナリーの著作は、とにかく出た順に読めとは聞いていたが、どうしても我慢できなくて手を出した。その結果、ボッシュシリーズを読んでいてよかったーと思う部分もあり、やっぱり順番に読まんといかんのかも。と言いながら、出たばかりの三作目は年末年始の楽しみにしようと思っていたりもする。
 本作もぜひ映画化して欲しいが、そのためにはハリー・ボッシュも登場するわけで、という事はボッシュ役を誰が演じるかを決めなければならず、それならとっととボッシュシリーズも映画化しろよ、先に何作かやれよとなるだろうから、本作の映画化は長引きそうな気もする。原作を読むにつれ、映画のマシュー・マコノヒーは本当にピッタリだったんだなと思うので、彼ができるうちにぜひお願いしたい。
真鍮の評決 リンカーン弁護士 (上) (講談社文庫)

真鍮の評決 リンカーン弁護士 (上) (講談社文庫)

真鍮の評決 リンカーン弁護士 (下) (講談社文庫)

真鍮の評決 リンカーン弁護士 (下) (講談社文庫)