辻原登『冬の旅』(集英社)。坂道を転がり落ちる、どこまでも。『遊動亭円木』以来の辻原登の小説だが、なんちゅう気の滅入る小説だ。一応主人公はいるが、彼の周りにいた人たちの人生も描いていて、十者十様だけどみな灰色。小説の途中で参考文献が出てきたりと、これは誰の目線なのだろうと少々の戸惑いもあり。「餃子の王将」はじめ実在する固有名詞が多数出てきて、それが効いている。全体を通して暗鬱とするが、一方で文体や描写に妙な軽さ渇きがあるから不思議。作者の余裕と言えばいいのか。なんにせよ、寝る前に読む本ではなかったかな。
- 作者: 辻原登
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/01/25
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (12件) を見る
- 作者: アーナルデュル・インドリダソン,柳沢由実子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/06/09
- メディア: ハードカバー
- 購入: 4人 クリック: 43回
- この商品を含むブログ (71件) を見る