不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

最近読んだ本

 川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』(講談社。実は初の川上作品。たいそう評判がよかったので読んでみた。タイトルに「恋人」とあるのだし、きっと恋愛ど真ん中な物語だろうと思いきや、むしろ端っこの方にある物語だった。言うならば、恋愛という一つの点に寄り添うような。俺は別段、感銘こそ受けなかったけれど、こういう世界との対峙の仕方――端的に言うなら自分の足で立つ、時によろめきながらでも――をしているのなら、他のも読んでみたいなと思った。

すべて真夜中の恋人たち

すべて真夜中の恋人たち

 楠見清『ロックの美術館』(シンコーミュージック江口寿史のイラストに惹かれて手に取り(これがすごくいいんだな)、アートワークなど音周辺についてのコラム集かと思いきや、結構骨太な美術評論。といっても文体はポップで読みやすく、かなりおもしろい。音楽業界はあまりいい話を聞かないし、版元のシンコーミュージックも『クロスビーと』休刊と先行き不安な中で、この本からはどことなく光を感じられるからよかった。
ロックの美術館

ロックの美術館