橋本治『橋』(文春文庫)。『巡礼』『リア家の人々』に続く(のかどうか知らないけど勝手に思っている)戦後史三部作。橋本治の戦後史ものに間違いなしと言っていい気がしてきた。簡潔に事実と人物を淡々と描く文体で、凝った表現も見事な比喩もないのに、おもしろい小説になるものなんだな。コラムと同じような体温で書かれているのに、できあがってくるものが全然違うから不思議。時代と人物に寄り添っていて一面やさしく読めるのだが、同時に社会・世間へのカウンターでもあって、読む者に押し付けてこないだけに重く感じる。どんな事でも、原因なんて一つじゃないし、単純でもない。そんな当たり前の事を忘れてしまうし、当たり前の事が書かれた小説が胸に響いてしまう。これまでは文庫になるまで待ってたけど、もうすぐ出る短篇集は単行本で買ってしまおうかな。
- 作者: 橋本治
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/08/06
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る
- 作者: 仁賀克雄
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2013/08/09
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (3件) を見る