不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

最近読んだ日記

 筒井康隆『偽文士日碌』(角川書店。自身のHPでの日記*1をまとめた待望の一冊。碌は「碌でもない事」の碌。どれくらい加筆・修正を施したのかは知らないが、こうやって紙でまとめて読んだ方がおもしろく感じるのは気のせいかな。さすがにお年を召されて『腹立半分日記』の頃より罵詈雑言は少なめだし、わりと丁寧に日々を綴っているけど、ユーモアと毒は衰え知らず、それどころかますます磨きがかかっているかのようだ。前からわかっていたけど、筒井さんは本当に意地が悪くて、本当に誠実だと思う。だから好きだ。日記で何人かの友人・知人が亡くなり、その方々の年齢が近い事もあってしょんぼりなさっている記述があったが、筒井さん長生きしてくださいね。とりあえず未読の筒井作品と、ついでに大江健三郎の小説を読んでみるかな。何はともあれ、太田が悪い。

偽文士日碌

偽文士日碌

 横尾忠則『いわゆる画家宣言―横尾忠則の画家の日記'80‐'83』(ちくま文庫。寝しなにちびちび読んでいた横尾さんの、タイトル通り「画家宣言」からの三年間をまとめた日記。絵や写真が時折り挟まっているが、基本的に小細工なしでダーッと日記が書かれており、食事風景、今日の巨人の結果など日常事だけでなく、その時の怒りや愚痴も有り。スタイルを決めない、思いつくままの書き散らかしっぷりがおもしろい。何日も書かなかったりする時があるのもいい。続篇の『365日の自画像』もあるけど、こちらは少し間をおいてから読もう。 坪内祐三さんがコラムで取り上げたので、古本好き(日記好き)には知られているだろう木佐木勝『木佐木日記』(現代史出版会が図書館の保存庫にあったので、とりあえず一巻を注文して借りてみた。分厚く、二段組みで文字がぎっしり、一日一日をたっぷり書き込んでいるから濃厚。日記はちびちびと読んでいくのが好きなので、とても期限内に読み終えられない。予約する人がいないので、返してはまたすぐ借りている。できれば手元に置いておきたいが、ちと高い。うーむ、いまのところは図書館本を延々と読んでいくしかなさそうだなぁ。