浦沢直樹『PLUTO』6巻を堪能する。ゆっくりと、しかし確実で、それでいてスリリング。俺は元を読んだ事がないので、展開に興奮しっぱなし。今のところ、もっとも続きが気になる。元ネタがあるから『20世紀少年』のようにはならないだろうし……。
山田五郎の解説にある《美しさと引き換えに、原作に見られる無残な破壊シーンはない》《残酷性とエロティシズムという点では、今のところ『PLUTO』は原作より薄いのだ》は、『PLUTO』や浦沢直樹に限った事ではなく、多くの漫画家の欠けている部分だ。ある人はないし、ある人は過剰に出してしまう。手塚治虫は持っているだけでなく、バランス感覚もあり、それが天才と言われる理由の一つだと思う。
手塚に限らず、藤子不二雄も、石ノ森章太郎も、豊富なアイデアや少年(少女)性だけでなく、残酷性とエロティシズムもしっかり備えている。
前から思っていたが、たとえば浦沢直樹や井上雄彦といった現在の漫画家のトップクラスは、凄まじいレベルとはいえ、あくまでも「秀才」だと思う。ある程度の才能が努力を惜しまなければ、あのクラスにはたどり着く。まぁまず「ある程度の才能」が必要だし、「努力」も並大抵のものではないから、なかなか誰も追いつけないわけだが。
しかし、手塚治虫は「天才」で、最初からいる位置が違う。どんなに努力してもたどり着かない。
いま現在活躍している漫画家で「天才」っているのかな。
- 作者: 浦沢直樹,手塚治虫,長崎尚志
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/07/30
- メディア: コミック
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