谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』読了。「涼宮」をいつも「りょうみや」と読んでしまいます、コンニチハ。
ネットのあちこちで本作を元にしたネタが溢れ、アニメはアニメ界を席巻し、俺の好きなブログで言及されていたので気になり、まずはアニメでなく本から読んでみる事にした。ライトノベルを買って読むなんて久し振り。しかも角川スニーカーって、中一の時の『ロードス島戦記』以来じゃなかろうか。
まず、メンドクセー文体である。主人公キョンの一人称なのだが、回りまわった喋り方で非常に鬱陶しくて、良い。
物語はというと、その辺にあるネタを繋ぎ合わせて推測していた通りだったので、初めて読んだ気がしなかったのが残念。それだけ使われているというのも凄い。
改めて思ったのは、オモチャ箱のような物語だという事だ。物語だけでなく設定も。思いつく限りの、ありとあらゆる要素を積め込んでみました、という印象を受ける。面白い事に、それが破綻する事なく成立している。それは、おそらく前述の鬱陶しい文体で、持って回って、無理やり整理整頓をしているからだろう。グチャグッチャのものを、こねくり回したらキレイに並んだのだ。よく出来ている。
ただラストのキスシーンはなぁ……あそこでしちゃうというのもちょっと勿体無い気がするし、そもそも「キス」という行為に違和感を覚えるのだが……。一発勝負の応募作品だから、つめるだけつめこんだのだろうか。あれはあれで、ベタだけど成立しているからいいのか。
それにしても、健全な物語だ。設定こそムチャクチャだが、描かれているのは明るい日常、楽しい学園生活だ。嫌な人間もいないし、起こる出来事も不快なものない。今のライトノベルやアニメは、こういった健全な日々での物語が多いのだろうか。そうなると、現在リメイク中の『エヴァンゲリオン』(ヱヴァンゲリヲン)は、場違いな作品なのだろうか。
面白かった。次作やアニメもちょっと手を出したくなった。ま、そのうち。
- 作者: 谷川流,いとうのいぢ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/06/01
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