不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

不思議の国に迷いし心地

 七月大歌舞伎『NINAGAWA十二夜を見に行く。歌舞伎座は野田版『砥辰の討たれ』以来だから2年振りか。異様にいい席でちょっとびびる。
 原作は勿論、ウィリアム・シェイクスピア。演出は、これも当然、蜷川幸雄。出演は尾上菊之助中村時蔵中村翫雀中村錦之助市川亀治郎坂東亀三郎尾上松也、、河原崎権十郎市川左團次尾上菊五郎
 幕が上がると、客席を映す鏡一面。蜷川ではお馴染みとも言える演出だが、やはり美しい。次々と変わる場面演出。大仕掛けなものが多くて楽しいが、そのせいでリズムが止まる時があった。ま、そもそも現代演劇の様な早いリズムではないからいいか。
 今回面白かったのは、分かり易かった事。原作を知っていたからではなく、元が翻訳されたもので、それをさらに脚色したからだ。セリフそのものがすんなりと頭に入っていった。
 それにしても、シェイクスピアでも歌舞伎でもよくある事だが、解決が随分簡単だよな。「それでいいの?」と思わず突っ込んでしまうほど。着物なので早代わりはできないだろうと思ったが、あんな風に(強引に)やるとは。ある意味、斬新(?)。
 演出に新鮮さはない。だからといって古臭いわけでも、見飽きたわけでもない。NINAGAWA節が確立されたものになった、という事だろうな。相変わらず美しく、素晴らしい。
 面白い、楽しめた。