不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

良作ばかり

 あずまきよひこよつばと!』(6)を読む。
 『あずまんが大王』も面白かったけど、このマンガもかなり面白いです。日常を描いているんだけど、何というか、絵日記みたいな描き方。こういう子供(や動物)の無邪気な姿を描く作品は「あざといッ!」と思う事が多い。このマンガでも少し思ってしまったが、全体としては殆ど思わない。こういう子がいたら楽しいだろうな。
 今のところ6巻で一ヵ月くらいしか時間が進行していないのだが、四季を主人公「よつば」がどう過ごしていくのか見てみたい。それに「よつば」は5歳という設定なので、小学校生活も。
 誰だったか忘れたけど、子供の時の一年はやたらと長く感じるのに大人になると早くなる。それは大人は一年を振り返りたくなくて、前ばかり見ているから。子供はいつも何かが新鮮で振り返りたい事ばかり。だから長く感じるし、大人は短く感じるのだ、という様な事を言っていた。『よつばと!』を読んでいると、なるほど、その通りだなと思った。すげー楽しそう。
 6巻では、自転車屋の店員がナイスでした。妙に冷静に妙な事を言うキャラって大好きです。

よつばと! (6) (電撃コミックス)

よつばと! (6) (電撃コミックス)

 ドラマどころか映画にもなっちゃったので今更読むのもなぁと思っていたよしながふみ『大奥』(1)(2)。何で今まで読まなかったんだ、バカ、俺! 天邪鬼な理由だけでなく、よしながふみで男女逆転大奥か……めくるめく男・男の世界……いやぁさすがに読めないよ、というのも読まなかった理由なのだが、そういう場面がなくはないけど、設定上必然だし、あれくらいなら問題ない。
 1巻は紹介も含めた大奥の世界の話。設定が細部までできている上に、描写が鬼上手い。何だこの作品。今後どういう風に話を展開していくのかと思ったら、ラストで男女が何故逆転したか、大奥はどう作られたのか、徳川吉宗(女性ね、このマンガでは)が疑問を持って、調べようとするところで終わる。き、気になる!
 すぐに2巻を読む。場面は時代を遡り、三大将軍・家光亡き後になる。将軍家がどれだけ切羽詰っているのか、それに巻き込まれた人間が何を考え、どう行動していくのか。1巻に比べて、笑いが少なくシリアス一辺倒。行き詰る展開。鳥肌もののシーンも数知れず。
 ちょっと凄いわ。「少女漫画」という括りを超えているぞ。
大奥 (第1巻) (JETS COMICS (4301))

大奥 (第1巻) (JETS COMICS (4301))

大奥 (第2巻) (JETS COMICS (4302))

大奥 (第2巻) (JETS COMICS (4302))

 いくえみ綾潔く柔く』(4)を読む。この人の描く恋愛(を含めた心理)模様は、凄く複雑。複雑というか、状況だけでなく、感情も絡み合っているというか。「好き」「嫌い」という単純なものではなく、いろいろな感情が混ざるのが恋愛なわけで(どんな事でもそうなんだけどね)、それを描くのがとても上手くて面白い。『かの人や月』(全3巻)という作品もかなり面白かった。
 ……俺、「少女漫画」読み過ぎじゃねぇか?
潔く柔く 4 (マーガレットコミックス)

潔く柔く 4 (マーガレットコミックス)

 最後は小説、J・D・サリンジャーナイン・ストーリーズ。姉からの誕生日プレゼントの三冊目。一番好きだそうだ。
 あの、正直に書くとわけわかんなかった。わかんなかったけど、面白いって事だけはわかった。一つ一つの話の残像と謎だけが残っている。うーむ。何度か読み返さないと言葉が出ないな。
 サリンジャー村上春樹訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』しか読んだ事がない。その時はあまり入り込めなかった。もっと早くに読んでいれば違っていたのかもしれない。本にもタイミングがある。それでこの本も読んでいなかったのだが、これは早めに読んでもわかんなかっただろうな。他の作品も読んでみたくなった。サリンジャーって断筆しちゃったけど、まだ存命しているんだ。
 最初に載っているせいもあるが、「バナナフィッシュにうってつけの日」が印象深い。ビーチのシーンは、何故か映画『太陽がいっぱい』を思い出した。
ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)

ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)