不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

九月一六日、エブエブ、満腹

 徹夜にはならず、タクシー帰りにもならず、ギリギリ終電の時間で家に帰られたのでまだマシな進行であった、その時点でどうかしているとはわかりつつ、ともあれ当然疲れはたっぷり残っているから外出する夕方まで大人しくしていようと、Netflix『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を再生。

 公開前から話題になっていたけれど予告を見る限りいまいちピンと来なかったので、オスカーを受賞してもスルーしていたが、その勘は当たらずとも遠からずといったところ。冒頭30分で何となく展開が見えちゃったので、もう少し仕掛けがあってもよかった。何より、多次元宇宙の無限の可能性を一つの家族のミニマムな話として集約するにしても、たどり着くのが愛とやさしさというのは安易というかなんちゅうか。たしかに家族愛や誰かの肩をポンと叩く事などをよしとするのはわかるが、それはそれで保守的だし幸せ(≒可能性)の一つでしかないよなとも思う。マルチバースという題材こそ新しいが描かれているものはわりかし古い(≒凡庸)気がしたのが率直なところ。と、辛く書いたけれど、わちゃわちゃし出す中盤以降は結構楽しめたし、クライマックスの夫婦二人のあれこれは実はグッと来るものあり、現在と現実の圧倒的な肯定。ミシェル・ヨーキー・ホイ・クァンのすばらしい演技で何とか底抜けしなかったなという印象。ミシェル・ヨー、名優の域。

 カミさんが仕事をひと段落させるまで、動画作品をあちこち見て過ごし、予定通り夕方に外出、下北沢へ。久し振りのコーヒー豆屋で二種類買い、予約三十分前だが腹が減ったし大丈夫だろうとイタリアンへ突撃、無事入店。一ヶ月半遅れのカミさんの誕生祝いディナー。好きなものを頼みたまへ、私も頼む、とドシドシ注文したら食べ過ぎた。帰り際にシェフからも「今日はたくさん食べ過ぎたでしょう!」と笑いながら言われる、しかしどれもこれもがうまかった。今回のMVPはムール貝のワイン蒸しとホタテのソテーという貝料理、火を通した貝のうまみはうまい。