不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

夏の映画館

 『孤独のグルメ』シーズン9の群馬県高崎市の回を見ていたらある映画館が出てきた。電気館という名前で、大正にできた建物だというのだが見覚えがある、もしかして一度だけ行った高崎の映画館はここではないか。いや、違うかもしれない、ここはどうやら名画座らしく私が見たのは新作だった、他の閉館してしまったところかもしれない、二十五年近く前のたった一度の事だから記憶は朧げで、はっきりしているのは高崎の映画館だった事、見に行った作品が『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』だった事、夏で冷房の音がうるさくて映画の音が聞こえにくかった事。そして、上映中に突然フィルムが止まり、数分後に何事もなかったかのように再開したが少し進んでいたので観客の一人が抗議しにいって、巻き戻して再度やり直した事、上映終了後に特にお詫びのアナウンスも何もなかった事だ。書いてみればどうという事もない話なのだが、それでも自分の中では強烈な映画館の思い出で、高崎や『ロスト・ワールド』の字面を見るたびに必ず思い出す、『ロスト・ワールド』の記憶は全然ない、暑い日だった、高校二年の夏だった。