不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

線上

 その日から四十日後に猫が死んだ。その日から約半年後に引っ越して同棲を始めた。その年から十年が経った。その日を含めた三つの出来事に直接的な関係はないがかといって無関係でもない。猫はもう弱っていたのでその時期は近かったとはいえその日からの一ヵ月は余震あるいは緊急地震警報の音がストレスになっているのか亡くなる動物が多いとペット霊園の人が言っていた。引っ越しはアパートの更新時期が迫っていたからなのだが彼女と一緒に住んだ方がいいのではないかという思いが頭に少しでもよぎったのは間違いない。繋がってはいる。必然ではない偶然の連続。その日は以前からの線上にあったしその日以降の十年も線上にあったし十年後の現在も線上にある。人生に希望はないがそれほど深刻でもないという考え方でこの十年もそもそも希望や期待を持っていないのだけれどにもかかわらず政治に社会に人間に仕事に自分自身に世界にずっと失望していた気がする。ただ一つ生活だけに希望を抱いていたし抱き続けている。偶然の生活の線上で決断し決断し続けている。十年は区切りではなくきっかけとなる数字でしかない。だからきっかけとしてこんな事を思い《捨ててしまったもの戻ってこないけれど/なくしてしまったものなら急に帰ってくることあるんだぜ》と歌われる曲を聞きながら家に帰った。