不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

ここが憧れの

 うな串屋というものがある事を知ったのは、森繁拓真『いいなりゴハン』だった、二巻に新宿思い出横丁にある店に行くエピソードが載っている。鰻好きとしては一度は行ってみたかったものの、なかなか敷居が高い、下戸でも居酒屋に堂々と入るが、こういう、何と言うか、常連の多い、酒とつまみ、という飲み屋は躊躇してしまう。
 今日、会社の上役に誘われて行ったのが、まさにこのうな串屋だった、着くまで店を知らなかったので驚いた、どうやら常連らしい。カウンター十席ほどの小さな店、やはり入りにくい、入ってしまえばこっちのもの。串物を一通り、肝はなかった、18時前に入ったのにないのか、いつ来たらあるんだろう。どれもこれもうまい、タレ自体は薄めだけど肉の味が濃い、食感もいい。ガツガツ喰いまくる。さらにうな丼があるというので、〆にそちらも喰ってしまう、たっぷり出てきて、さっくり喰う、うまい、満腹、こういう店で腹いっぱい喰うのも無粋なのかもしれないが。
 17時に会社を出て、店に着いたのが18時前、我々はゆっくり喰っていたので終わったのが19時30分頃、他の客はサッと帰っていった、気づいたらケースの中に串はなく、暖簾も下げていた。飲み屋にしては閉店が早い、客の回転はよくてひっきりなしに来ていたが、終わりは終わりのようで、なるほど、詳しくは知らないけど鰻の適正量というのはこんなものなのかもしれない、一日この程度が限界、丑の日だと大量消費する方がおかしいのだ、うまいものを適量、適正な価格で喰う、それが正しい、そんな事も感じた店であった。もう一度自腹で来よう、粋に串をつまもう。