不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

途中やんけ

 沼田真佑『影裏』(文藝春秋芥川賞受賞作。どんな物語かも、選評がどうだったのかも知らず、何となく好きではないかと思って読んでみた。冷ややかな筆致、明確に事実を書かず時系列も少しだけズラして妙を生ませるなど、思った通りかなり好み。好みなんだけど、いや、この小説、まだ途中ではないか。余韻があるとか、結末を書かないとかでなく、この続きからが本編ちゃうんやろうか。これでええんか。戸惑いばかりです。読み終わってから調べてみたら、選考でも揉めたらしく、俺と同じように《「バツをつけた人の意見として、『ここで終わってほしくない』や『ここから始まるのではないか』『完結していない』『これ1冊で芥川賞でいいのか』という人もいました」》とのこと。そうやろうなぁ。俺だったらバツをつける事はないんだけど(何様だ)、これはちょっと、評価に困るのは確かだ。うーん。
 余談というか、どうでもいい指摘なんだけど、Amazonではタイトルの後ろに「第157回芥川賞受賞」というのがつくのね(下参照。Amazonのサイトでもこうなっていた)。まぁわかりやすくして売るためなんだろうけど、とてもダサいですね。

影裏 第157回芥川賞受賞

影裏 第157回芥川賞受賞