いまさら年始も何もないものだが、一応。
ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』(河出書房新社、柴田裕之訳、上下)。話題になっていたので読んでみた。ざっくり言えば、「認知革命」「農業革命」「科学革命」という三大革命を軸に人類史を振り返り、ホモ・サピエンスは「想像上の秩序」、すなわち嘘とそれを信頼する事で文明を築いてきたという話。
新発見や斬新な解釈が書かれているわけではなく、これまであった事実へのスポットの当て方、視点の切り替えなどによって新たな角度で人類史を見る方法といった感じで、全体的に身も蓋もない、あるいは皮肉にまみれた書きっぷりがなかなかおもしろい。鼻につく人もいるかもしれないけど。
上巻で文明の礎や概観を、下巻では人類はどこへ向かっていくのか、つまり「幸福とは何か」=「何を求めているのか」を突き詰めていく。終わりの方のくだりを読むと、人類ってこのままだと破綻するような気がして、どこかで革命、あるいは自分たちを書き換える必要があるのではと思った。こうやって虚構を引っぺがしたのに、その真実や裏側ではなく(まぁそれも眺めてはいるんだけど)、人類史が虚構である事を改めて確認して、それでもなおその虚構を信頼して築き続ける、それこそがホモ・サピエンスならではの思考なのだろうな。
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