橋本治『初夏の色』(新潮社)。「震災をどこかで経験した日本人」を描いた短篇集。橋本治は贔屓の作家なのもあるけど、震災を扱ったこういう小説を読みたかった。ただ、「こういう」とはどんなものかをうまく言えないのだが、冷たさと温かさ、遠くと近く、両方の矛盾した感覚を得られる。全てがいいとは言わないが、戦後史ものと同じスタンスで書けるのだから、やはり凄いものだ。「枝豆」と題する小説だけは、震災とはあまり関係なく、「草食系男子」についてのものなのだが、これが一風変わっていて結構おもしろかった。
- 作者: 橋本治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/08/30
- メディア: 単行本
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- 作者: 金井美恵子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2013/09/20
- メディア: 単行本
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