不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

読んだ本から二冊

 中条省平『名刀中条スパパパパン!!!』(春風社。書評集だが、本だけでなく漫画や映画などジャンルを飛び越えて広範囲で物事をとらえ意外な作品を繋げて語るのがおもしろい。文章も読ませる。書評集でありながら時評でもあって、この手のものはへたしたら古びてしまうが、意外といまでも有効な内容だった。

名刀中条スパパパパン!!!

名刀中条スパパパパン!!!

 内澤旬子『身体のいいなり』(朝日新聞出版)。内澤さんは前から読んでいたけど、この記事を読んでより気になる人になったので本書も手にしてみた。闘病記とは違う、身体と病気の話。内澤さんの姿勢や視点が無頼で(果たしてこの言葉で合っているかどうかわからんけど)、たいそうおもしろい。冒頭にあったこの文章で笑いながら、改めて「好きだな、この人」と思った。

 それになにより顰蹙を買うことを承知で言わせていただくと、人間なんてどうせ死ぬし、ほっとけばいつか病気に罹る可能性の方が高い生き物なのに、なぜみんな致死性の病気のことになると深刻になり、治りたがり、感動したがり、その体験談を読みたがるのかが実のところ自分にはよくわからないのだ。そんな体験談なぞ癌になる前から読みたいと思ったこともない。

 癌で亡くなった母に読ませてみたかった、と詮無き事を思ってしまった。きっとこの本も内澤さんも気に入っただろうな。

身体のいいなり

身体のいいなり