ナンシー関は誰でも平等に臆する事なく斬っている。だけど、斬る時に裏話や噂といったものを盛り込む事はない。「アイツは学会員だから」とか「力関係がこうだ」とか「裏では××」とか「右(左)巻き野郎め」とか、そういった語り方は一度もした事がないと思う。景山民夫みたいにテレビの中ではっきり表明していれてば別だが。
ナンシー関が見ていたのはあくまでテレビ画面から見えてくる事だけだったのだ。つまり、一般的な視聴者と同じ視線だった。だからおもしろい上に、「信用」できたのだ。ジャイアント馬場はでかい、というだけでおもしろいコラムを書けるコラムニストが、いまいるだろうか。
だが一方でナンシー関は「プロレス脳」を持っている。「プロレス脳」とは「妄想脳」である。おそらく、ナンシー関は一つの原稿を書くのに、かなりの妄想*1を膨らませているはずだ。テレビの中で見えたものと、自分で作り上げた妄想を混ぜ合わせ、できあがったものをこそぎ落として原稿ができる。確か、リリー・フランキーとの対談本『小さなスナック』の中で、いつも規定の倍以上の原稿を書いてしまうと言っていた。
裏話・噂と妄想は違う? 違うだろう。どう違うのかと問われると答えるのが難しいのだが。いかん、わけがわからんくなってきた。
ナンシー関について、いつまで考えるんだろう、俺。

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*1:この場合の「妄想」とは「プロレス的妄想」の事。