不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

明日はずっと見えないよ、と俺は思ってしまう

 ASIAN KUNG-FU GENERATION WORLD WORLD WORLD TOUR at 新木場 STUDIO COAST。初めてのハコだが、ゆったりとした作りで良いね。床がフローリング(木材)なのが気に入った。
 前回の幕張メッセでのライブは、編集盤『フィードバックファイル』のツアーだったので、いささか散漫だったが、今回は新アルバムを軸に新旧の曲を取り交ぜ、しっかりとした構成。中会場だったのもあり、観客の盛り上がりもかなりのもの。日本人が何故かしてしまう変な手拍子がなかったのも嬉しい。
 『ワールドワールドワールド』の楽曲は、前作の方が好みだったのもあり、聴いていて(俺だけ)若干だれてしまったが、こうやってライブの中に入ると、この歌の強さやおもしろさがわかったような気がする。
 後藤はMCでこんな事を言っていた。
「毎日、世界中でいろんな事件が起こる。そんなニュースを見ながら『自分には何ができるのだろう』と考えたりする。でも、結局、言わなきゃいいのに友達の悪口なんかを言ってしまう。自分達の日常は社会の縮小版で、そういう悪口で友達を傷つけるか、ミサイルを発射するか、そんな違いで……自分はちっぽけな人間だと思う。
 そんな思いを歌にしました」
 そして“転がる岩、君に朝が降る”を歌った。
 彼らが思いを歌にする。それは当然の行為なわけだが、それを聴いて我々は何を思う? 特に、まだ政治や社会にそれほど関心を持たない若い世代が何を感じ取る? 《何を間違った?/それさえもわからないんだ/ローリング ローリング/初めから持ってないのに胸が痛んだ》という歌詞が、いつもとちょっと違う響きに聴こえた。
 “ループ&ループ”“新しき世界”で終了。《僕が描いたその影に/君の未来は霞んでしまった》から《さぁ飛び出そう/胸躍るような新しい世界》という繋がりに、少しグッとくる。
 終わってみれば2時間弱と短い時間だったが、内容は濃密。満足。


《明日はどんなことしようかなんてこと 何時しか僕らは失くして
 随分濁った 世界の広さを心の狭さを
 それすら見えずに 曇った2枚のレンズ》(“24時”)

set list
01.ワールドワールドワールド
02.アフターダーク
03.トラベログ
04.No.9
05.自閉探索
06.ワールドアパート
07.24時
08.ナイトダイビング
09.桜草
10.旅立つ君へ
11.ネオテニー
12.未だ見ぬ明日に
13.ライカ
14.惑星
15.センスレス
16.アンダースタンド
17.君という花


en.
01.転がる岩、君に朝が降る
02.夏蝉
03.ループ&ループ
04.新しい世界