不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

二つの結末

 パトリシア・ハイスミス太陽がいっぱい読了。映画を見たのは何年前だろう。ずっと原作を読みたくて、ようやく。映画も傑作だが、原作もいい。
 映画と違う部分は多々あるのだが、中でもリプリーの性的要素、すなわち同性愛的な傾向があるかないかが大きい。映画にはなく、リプリーが貧しさから屈折した心を持ち、そこから犯行に及ぶという、言ってみれば「健全な犯罪」。一方、原作では同性愛的傾向が見え隠れする。それだけで全く違った質の、性から生ずる犯罪に見えてくる。見え隠れするだけで、はっきり読み取れるわけではないのがまたニクイ。
 面白かった。次は『見知らぬ乗客』を読んでみよ。

太陽がいっぱい (河出文庫)

太陽がいっぱい (河出文庫)