不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

アイムプリティファッキンファーフロムOK

 舞城王太郎阿修羅ガール読了。
 後輩が熱烈に薦めていた、冒頭3行は確かにいい。この勢いで最後まで行ったら凄いだろうな、と思っていたらそのまま行ってしまった。凄い。
 現代の女子中学生・高校生の言葉遣いを作品で使う時、不自然で違和感だらけの失敗作が多いが(ネット言葉も)、この小説は生き生きと、一つの文体として使われていた。拒絶する人はいるだろうけど。
 異常なドライブ感、トップスピードのまま突き進んでいく。
 もっと破天荒でぶっ飛んだ物語かと予想していたが、実際ぶっ飛んでいたものの、正統で古典的なテーマだった。そのため思った以上にしっくり来る。この文体と正統なテーマ、更にファンタジー、笑い、ホラー、実験的要素、エンターテインメントとが組み合わさって、よく出来た小説になっていた。
 面白かったし、巧かった。久々の舞城体験、満喫。
 ただ、この小説に限らず、舞城王太郎の作品は毎回「あああ、巧くて面白くていいんだけど、もっと、こう、さ! ね?」と思ってしまう。何を求めているんだ、俺は。わからん。多分、期待しているんだろう、舞城に。垣根を越えてくれるかもしれない、と。

阿修羅ガール (新潮文庫)

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