舞城王太郎『阿修羅ガール』読了。
後輩が熱烈に薦めていた、冒頭3行は確かにいい。この勢いで最後まで行ったら凄いだろうな、と思っていたらそのまま行ってしまった。凄い。
現代の女子中学生・高校生の言葉遣いを作品で使う時、不自然で違和感だらけの失敗作が多いが(ネット言葉も)、この小説は生き生きと、一つの文体として使われていた。拒絶する人はいるだろうけど。
異常なドライブ感、トップスピードのまま突き進んでいく。
もっと破天荒でぶっ飛んだ物語かと予想していたが、実際ぶっ飛んでいたものの、正統で古典的なテーマだった。そのため思った以上にしっくり来る。この文体と正統なテーマ、更にファンタジー、笑い、ホラー、実験的要素、エンターテインメントとが組み合わさって、よく出来た小説になっていた。
面白かったし、巧かった。久々の舞城体験、満喫。
ただ、この小説に限らず、舞城王太郎の作品は毎回「あああ、巧くて面白くていいんだけど、もっと、こう、さ! ね?」と思ってしまう。何を求めているんだ、俺は。わからん。多分、期待しているんだろう、舞城に。垣根を越えてくれるかもしれない、と。
- 作者: 舞城王太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/04/24
- メディア: 文庫
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