不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

また失って、また勝ち取って


 『スパイダーマン3』鑑賞。初めて新宿バルト9に行く。初めてと言ってもゲキシネで行った事があるが。平日昼間で人少なし。
 監督、サム・ライミ、出演、トビー・マグワイアキルステン・ダンストジェームズ・フランコJ・K・シモンズサム・ライミスパイダーマンも3作目。一応の完結編だが、いくらでも敵は作れるのでもしかしたら続いていくかもしれない。それならそれで良し。
 とはいえ、やはり区切りなので『1』『2』と続いてきた物語は全て決着がつく。恋人、親友、仇……その他、ファンをにやりとさせる場面が山とある。
 このシリーズが凄いと思ったのは、ヒーロー物のテーマとなるもの全てを三部作で描ききった事だ。「力を持つ覚悟」(『1』)、「挫折」(『2』)、「ヒーローであり続ける事、許し」(『3』)。王道でありながら、「これが見たい」という観客の声を反映させている。
 相変わらずキルステン・ダンストはブサかわいいし、トビー・マグアイアはオタク臭のする笑顔をする。ジャームズ・フランコはだんだん父親役だったウィレム・デフォーに似てきて、ブルース・キャンベルににやり。J・K・シモンズは最高で、一番好きだ。今回の敵役、サンドマンの話は悲話で、それに見合ったトーマス・ヘイデン・チャーチの哀愁ある顔がたまらない。
 難がないわけでもない。ここまで「人類」だけで物語を展開してきたのに、最後にきて宇宙からの謎の生物(?)を出現させるのも如何なものか。親友との確執も、あれで解決しちゃうんならもっと早く解決したんじゃないか? などなど……。
 しかしまぁ、だいぶ強引に納得できないながらも、一気に全ての物語を収束させて爆発させたのはお見事。あんだけド派手なバトルを展開させていたのに、ラストはしっとりだったのもいい。
 うーむ、なるほど。すばらしい。楽しめた。満足。それにしても、J・K・シモンズは最高だった(くどい)。


 余談だが、『1』が公開した時、井筒和幸が「こちトラ自腹じゃ!」で罵倒しまくっていた。その内容は「アメリカは自らを正義だと思っている。イラク戦争をしといてなんじゃ!」というものだったと記憶している。
 何を言っているんだ、このジジイと思った。それまでは、かなり偏ってはいるものの一つの見方だと思っていたが、この発言で、井筒の作品は別として、映画を見る目を全く信用できくなってしまった。
 『1』では直接セリフとして「大いなる力には大いなる責任が伴う」と言っているのに、それこそが「スパイダーマン」の根底にあるテーマなのに、何で「アメリカは正義」になるんだろう。むしろ、そのセリフを使っていながらアメリカ国旗をバックにするスパイダーマンが一瞬映る(『3』でもあった)、その光景はアメリカに対する皮肉以外の何ものでもないじゃないか。最初から思い込んで、歪んで見ていたとしか思えない。
 作品は好きなので、この発言には哀しくなってしまったのを覚えている。