不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

苦労と掌

 女性社員が棚を組み立てていたので手伝った。女性一人でもできそうだが、男がやらないというのも、と思ったので。こういうのもセクハラなのか? ちょっと違うか。フェミニズム的にはどうなんだろう。揚げ足取りか? しかし、「女性の社会進出が」とか「システムがおかしい」とか言っている人が同じ口で「女の子にそんな事をしちゃ(言っちゃ)いけないよ〜」と言うのは、若干おかしさを感じるのだが。男女平等を目指すくせにレディースデイについては何も言わない、みたいな。これも揚げ足取りだろうか。
 話が逸れた。
 棚は木製の板を説明書通りにネジでとめていく簡単なもの。三人かかりであっという間にできた。終わった後、ふと右手の平を見たら、水ぶくれができていた。
 え、たったあれだけの作業で? そんなにヤワなの、俺の手? ちょっとショック。針で穴を開け水を出し、皮はそのまま。これが一番いいそうだ。インターネットって便利。痛痒い。
 数年前、ある人に「苦労した事のない手だね」と言われた事がある。
 俺の手は結構キレイだ。自分で書くとちょいと気持ち悪いが、宝石職人はじめ何人かに言われた事があるので、まぁキレイな方なのだろう。言われて瞬時に理解できなかったが、単に荒れていないという事ではない事はわかった。水仕事(本当の水ね)をしていないとか、汗水たらして手が荒れるほど仕事していないという事か。
 俺は焼き鳥屋でバイトをしており、日に8時間、時には12時間くらい鳥を焼き続ける事もあった。その頃は自宅ではあまり食事を作らなかったので、もっぱら食後の洗い物を担当していて、水仕事は毎日していた。
 あの人は「アンタはお坊ちゃんで何の苦労もしていないんだ」と言いたかったのだろうか。手一つで、まさに表面的な事だけでそんな事を言われたくない。というか、言ってどうするんだ、そんな事。
 という事を水ぶくれ一つで思い出した。暇だな、俺。