山村修『書評家〈狐〉の読書遺産』読了。
たとえば米原万理は「日常」の一要素として「読書」が存在していたが、〈狐〉こと山村修は「美しい時間」として「読書」が存在していた。いい悪いではなく、読んでいて違いがある気がした。巻末に「さようなら〈狐〉」と題した中野翠の解説(追悼文?)に《山村さんは一言で言うなら、「深く味わう人」なんだ》と書いていたが、それと同じ気持ち。この中野翠の文も味わい深い。
『水曜日は狐の書評』しか読んだ事がなくて、その時はあまりピンと来なかったのだが、この本は物凄く良かった。読んでいて、〈狐〉が楽しんでいるのが伝わってきて、取り上げている本も魅力的に見えた。タイトルもよかった。《本はあの世にもっていけないが―》という帯の一文がじんと来る。
早速、amazonで検索……品切れが多い。2003年に出た本、しかも文庫が品切れって早過ぎるんじゃないかなぁ。

- 作者: 山村修
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/01
- メディア: 新書
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