不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

「ばいばい」の力


 木更津キャッツアイ ワールドシリーズを見る。
 ドラマは大好きなのだが、『日本シリーズ』は悪ふざけが過ぎてしまい、黒歴史になってしまったと思う。なので今回もちょっと不安だったのだが、いやいや、かなりの良作だった。テレビシリーズを知らなくても楽しめるかもしれないけど、是非とも見てから見て欲しい。
 死ぬほどくだらない事を仲間と楽しむ空気がたまらない。でも、それが大人になっていく事でどう変化していくのか。“ぶっさんの死”によってキャッツ達はどうなっていくのか。
 小ネタも満載。相変わらずのぶっ飛んだストーリー展開と演出なんだけど、それでも“ぶっさんの死”だけはリアル。その辺がクドカンの脚本の凄さだろう。いろいろ書きたい事はあるけど、それは些細な事だ。とにかく、何年にも渡ってきた物語がこれで完結する。
 ずっと続くと思っていた。だけど、終わりだ。もう必要ないんだよ。
 シリーズ物は続編や次回作が期待される。製作側もそれを考える。『踊る大走査線』シリーズなんかは顕著だろう。その期待というのは「更にいいもの」ではなく、「次作を待つ」という意味だ。
 だけど、この映画は違う。もう終わりなのだ。とても哀しいような、淋しいような。だけど、それ以上に、どこか晴れやかな、冬の青空のような気持ちの方が強い。
 青春との訣別、ってこういう事を言うんだな。
 過剰な演技、特徴的な演出、やたらと立ったキャラ達の中、今まで説明的であったり、陳腐なセリフを一切使わなかった。だからこそ、今作でのとても単純なセリフの一つ一つが光っている。例えば父と子の、最後の会話。使い古されたシーンなのに胸を打つ。
 みんながようやく言えた。
 ぶっさんに、青春に、「ばいばい」。