不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

颯爽と歩く


 プラダを着た悪魔を見た。主演はメリル・ストリープアン・ハサウェイ
 ジャーナリスト志望のださい女の子、アンドレアはひょんな事から超一流ファッション誌『ラナウェイ』の編集長・ミランダのアシスタントとして雇われる。自分の夢に近づいたと喜んでいたアンドレアだが、ミランダは悪魔のような女性だった……。
 ま、簡単に言えば「女の子の垢抜け成長物語」。よくある、展開の読めるちゃっちなストーリーである。ただ、他の映画との決定的な違いは「女が女の世界で洗練、成長していく」という点だ。自分探しだとか男だとかは関係ない。ストイックなまでに、仕事の世界での話だ。
 そう、「恋愛」や「友情」などの要素は確かにあるけど、メインディッシュに添えられるポテトサラダかパセリみたいなもの。なければ物足りないけど、あくまで添え物です。「仕事」というのがメインテーマであり、それが全くぶれなかったのがとても良かった。それは、アンドレアとミランダの関係もそうで、ギリギリの線で「仕事」と「プライベート」の関係が出来上がっている。そのバランスが絶妙。よく、敵対していた人がプライベートにまで入り込んで通じ合う映画があるが、そんな陳腐な事はしない。
 映画自体、徹頭徹尾“スタイリッシュである事”を貫いている。様々な服が出てきて、オシャレ満載なわけだが、ただキレイな服を着てちゃらちゃらしているのではなく、まるでアスリートの様に己を研ぎ澄まし、プロ意識をはっきり持ちながら仕事をしている。その姿は物凄く格好良い。
 メリル・ストリープが素晴らしい。アン・ハサウェイもかわいかったけど、圧倒的にメリル・ストリープが良かった。前から大女優だったわけだが、ちょっとやぼったい印象があった。でもこの作品では、一流ファッション誌編集長を見事に演じ切っていた。
 映画はミランダの一言で終わる。その一言は、誰でもわかるほど簡単で、単純で、深い。そしてそれを言うミランダの表情、仕種、言葉使い……ぞくっとした。完璧な演技と言っていい。
 それにしても、ここまでジャストなタイトルもそうないんじゃないかな。「プラダを着た悪魔」(原題まま)。予想以上によかった。大満足。労働者諸君、必見。
 That's All.