不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

このまま消滅する事はないじゃないか

 ロジャー・ホッブス『ゴーストマン 消滅遊戯』(文藝春秋田口俊樹訳)。待望の続編にして、おそらくは著者最後の長編は、前作と同じく時間制限付きのミッションでスリリングでありながら、犯罪のテイストはガラッと変わっており、スピーディな展開ととプロの手さばきで存分に楽しませてくれる快作。なんといっても、師匠であるアンジェラとのコンビネーションがいい。師弟愛や男女愛、はたまた友情のどれでもなく、またその全てであるような関係が、プロの仕事の合間で見え隠れする。彼と彼女の久方振りの再会の場面はヒリッとした空気で満たされていて、他の小説ではなかなか味わえない。アンジェラに一人称がある時は「わたし」、ある時は「あたし」になるのだが、英語だとどう変化をつけているのだろう。
 それにしても、これで終わりは何とも寂しく、悲しい。この後も気になるし、ゴーストマンは日本をわりと知っているようなので、日本に来た話も読んでみたかった。何故死んだ、とやはり言いたくなる。前作の感想でも書いたけど、映画化するなら、やっぱりマイケル・マンにお願いしたいところだなぁ。どうですか。

ゴーストマン 消滅遊戯

ゴーストマン 消滅遊戯