マイク・タイソン『真相』(ダイヤモンド社、ジョー小泉監訳、棚橋志行訳)。言うまでもなく本人による語りおろし自伝なので、「真相」には程遠かろう。読みたいのは、やはり第三者の書く評伝だ。この「絶対」とも言える王者の顛末なのだから。
さて、読む前から予想していたように、チャンピオンという栄光への階段の過程と、カス・ダマト亡き後の急転直下の落差がすさまじい。だが、本人の語り口がその前後であまり変わらないのがいいのか悪いのか。波瀾万丈と一口で言うのも失礼な程の波瀾万丈(特に後半)。下半身事情も麻薬事情もあっさり語っているのがおかしい。『ハングオーバー』の時期がわりとターニングポイントだったのだと知った。
ページはあまり割いていないが、K-1の契約はあくまで金のためで、戦う気が全然なかったというのはちょっとガックリした。《あんな怪物どもと戦うなんて正気の沙汰じゃない》なんて、正真正銘の怪物だった男からは聞きたくなかったよ。まぁ、この頃はもう仕方なかったのかもしれないけどさ。
周囲に迷惑をたくさんかけているんだけど、でも、なんかタイソンって憎めないよな。俺が傍観者だからかもしれないが。これからもいろいろあるだろうけど、様々な場で元気に(迷惑かけずに)暴れて、活躍してほしいなと思う。
- 作者: マイク・タイソン
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