山崎努『俳優のノート〈新装版〉』(文春文庫)。『リア王』公演までの、準備→稽古→本番の裏側を克明に記した日記。パンフレットなどで稽古中の日記が掲載される事は結構あるけれど(演出助手が書いている事が多い気がする)、主役級の人が企画が始まった時から長いスパンで書いているというのは珍しい。
おそらく俳優によって戯曲、役へのアプローチの仕方や演じ方、芝居への考えなどの違いはあるだろうけれど、「役に入る」とはどういう事なのか、初めて目の前で見た気分。まさに「入る」んだな。一度だけ大学の講義で芝居をやった事があるけど、あれは本当におもしろい体験だった。病み付きになる人がいるのもよくわかる。解説は香川照之。わりと文章うまいけど、ちとやり過ぎな感あり。
これを読んで、野田秀樹の演劇日記である『定本・野田秀樹と夢の遊眠社』(河出書房新社)を読み返したくなった。というか、この続きを、つまり野田地図時代の日記を読みたい。ある意味、ネタ帳みたいなものだから公開したくないのかもしれないけど、昔のならもういいんでないかな。野田さん、どう?
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