山田風太郎『人間万事嘘ばっかり』を読んだ。未刊行エッセイシリーズの最後の刊で、何故かこれだけ買ったのだ。表紙が、ジイサンの旅行写真にしか見えないが、なぜこれを選んだのだろう。マダム・タッソーで撮ったもので、隣は吉田茂か。扉写真の方がかっこよいのに。
軽やかに語り、風の如く対象を斬る。雑多にコラムやエッセイを寄せ集めた一冊だが、不思議と一貫性がある。社会風刺コラムは、つい最近書かれたかのように読める。その点は、風太郎先生が凄いのか、日本社会が変わっていないのか、判断が難しいところだが、人間の本質なんか変わりっこないかな。オウム事件は風太郎先生にして《戦後五十年間にいろんな事件を見てきたけれど、これほど奇怪なる事件は初めてだ》そうな。
生きるだけ生きたら死ぬだろう、というのが私のテツガクである。
私の作った警句に、「死は当人にとって、推理小説のテクストのように、最も意外なかたちでやって来る」というのがある。
どう死んだのかは知らないが、命日は奇しくも尊敬する江戸川乱歩と同日だったそうだ。

- 作者: 山田風太郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2010/07/24
- メディア: 単行本
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