海外転勤する姉夫婦の出発日だったので成田空港まで見送りに行った。思った以上に時間がかかって着いた空港は、さすがに新生活が始まったばかりの4月に旅立つ人は少なめで静かだったが、空港特有のキラキラした輝きは健在で、自分が出発するわけでもないのにわくわくしてしまった。
行先はミラノだ。数ある外国の中からあたりと言えるような国を引き当て、出発日も快晴とは、本当にヒキの強い姉と旦那だ。イタリアには行った事がないので、これを機に行ってみよう。
俺はほんの少しだが、姉に依存していた。依存というと大げさだが、バランスを取る支え棒だったのは確かだ。それがちょっと離れた場所に移動するので、少し、バランスを崩しそうになった。
だが、ま、少しだけだ。俺もいいオッサン、甘えた事をヌカしても気持ち悪いだけ。すぐに態勢を立て直せる。だから、今日のちょっとおセンチな気持ちも許してほしい。
そんな事を、空港の見学デッキから、旅立っていく飛行機を見ながら思った。
