キース・ピータースン『幻の終わり』を読んだ。人物造形が巧く、会話も洒脱。人間の弱さ、もろさ、哀しさが漂っている。中盤までは陰影のある雰囲気に酔えて楽しめたが、会った事もない女性に強く魅かれすぎてしまうところでゲンナリ。あそこだけ、ロマンチックを通り越して、単なる妄想だ。ちょっと惜しい。
主人公が新聞記者で、ジャーナリズムと覗き見趣味とダンディズムが混ざり合っている。やさぐれっぷりもよく、ジャーナリストの矜持も感じる。が、同じジャーナリストものならば、辣腕有名記者が主人公の本作よりも、トップ屋が主人公の桐野夏生『水の眠り灰の夢』の方が好きかも。
- 作者: キースピータースン,芹澤恵
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