『あるスキャンダルの覚え書き』を見た。孤独な老女と、家庭も仕事も美貌もある女性との友情物語。女優二人のみごとな共演。
ケイト・ブランシェットが美しさを存分に振りまきながら、日常に退屈を感じる女性を熱演している。彼女は好奇心や、刺激に溺れてしまう。魅力的な女教師で、かわいい妻で、美しい友達。これは、誰でも魅かれるよ。
しかし、さしものケイト・ブランシェットも名優ジュディ・デンチの前には存在が薄くなる。芯の強い、カッコ良い女性を演じる機会が多かったであろう彼女だが、本作で演じたバーバラも孤独を受け入れ、強い女性に見えていたが、実は様々な欲望、孤独や性欲や、何も手に入れられなかったという飢餓感が、静かに心にたまっている。それらが積もり積もって、表に出てくる狂気。彼女にとっての「友情」が、「オマエの全てを手に入れたい」という欲望、しかもレズのような性的対象ではない、というのがおそろしい。誠実に狂っている彼女。日常にいるモンスターである。まさに「怪演」。
バーバラの凄まじい執着心。そして、執着心があるからこそ行われる毎日の日記書き。それが破滅へと繋がるわけだが、その先がまた凄い。そして、強い。
展開はわかりやすく、予想通りなのだが、補って余りある演技合戦。
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