不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

いつかの夏に

 サザンオールスターズI AM YOUR SINGERを聴く。猥褻でも、泣きでも、笑いでもない、若干切ない、特徴のない曲。ただ、タイトルからもわかる通り、「30周年記念、リスナー大感謝! 応援ありがとー!!」という感謝の気持ちがいっぱいで、それがこちらの切なさを倍増させる。
 俺は前にも書いたけど、大森が脱退した時点でサザンオールスターズは形骸化したと思う。大森がメンバーや周囲に迷惑をかけたとか、宗教に走ったとか、麻薬に走ったとか脱退の理由があるにしろ、だ。
 奇しくも桑田佳祐が解散を否定する時に「サザンという屋号を下ろすことは絶対にない」と発言しているが、そう、もはやサザンオールスターズは単なる1バンドではなく、国民的バンドとして「屋号」という表現がぴったりな巨大な存在になった。それはもちろん幸福でとんでもない事なんだけど、巨大化によって“肉体”を帯びているバンドが持つ力は失われてしまった。そして、それは大森が脱退し、バンド内のパワーバランスが崩れた時に決定的なものになったのだ。
 俺は今でもサザンが好きだ。曲は聴くし、ライブ映像を見れば心が躍るし、死ぬ前にせめて一度はライブに行きたいと強く思っている。だけど、俺が一番好きだったバンド「サザンオールスターズ」はもういないんじゃないか、と活動休止報道を見ながら思った。もしかしたら桑田も、形骸化したまま突っ走るのが嫌で活動休止するのかもしれない。そうであってほしい。
《夏がまた来るまでは
 互い涙見せずに
 いつまでも変わらぬ想いを》
 また夏が来るのを待ちながら。

I AM YOUR SINGER (初回完全生産限定)

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