不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

大きな曲線を描き

 くるり『ワルツを踊れ Tanz Walzer』を聴く。
 いろいろな媒体で絶賛されているのを読んだ。評論家みたいにうまく言えないんだけど、確かにいい。アルバムの度に違う顔を見せるバンドだけど、今回は初めて聴いても新鮮さは無く(それはそれで欠点だが)、「あー、くるりだね」としみじみ思う。アレンジも巧いし、リズムが面白い。
 何より岸田繁の声と歌詞がいい。伸びやかに、流暢に、気持ちよさそうに歌っていて、聴いている方も心地よくなる。その声で、何かしらのしがらみや束縛から解放される気がする。
 だけど、一枚通して聴くとちょっと飽きる。更に言えば、今回くるりがやりたかったのは2曲目の“ブレーメン/BREMEN”に集約されちゃってる。他の曲が蛇足、とまでは言わないけど、そんな気がする。ま、飽きる、と書いておきながら何度も聴きなおしたくなるのもまた事実だったりするから面白い。
 美しいメロディ、素敵な声、色とりどりの歌。難しい事抜きで、それ以上でもそれ以下でもない。……だからこその、傑作、かな。
《楽隊のメロディー 照らす街の灯り
 夕暮れの影をかき消して
 渡り鳥 少年の故郷目指して飛んでゆけ》(“ブレーメン/BREMEN”)

ワルツを踊れ Tanz Walzer

ワルツを踊れ Tanz Walzer